細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回は、現代の若者の傾向や育ってきた環境がどのようなものなのか、そして彼らの多くが抱える心の病の問題についてお話ししました。今回からは、現代の若者の育て方について具体的に解説していきたいと思います。

荒む職場の原因


 若手の育て方についてお話しする前に、現在の職場の状況について少し触れておきたいと思います。近頃、職場が「荒んでいる」ということをよく耳にするようになりました。なぜ職場が荒むようになっているのでしょうか。その原因を私は次のように考えています。

  1. 「組織」よりも「個」の成果を評価することによる一体感の喪失
  2. 「育てる」風土の欠
  3. 上司・部下/同僚同士の信頼関係の希薄さ
  4. 情報の停滞
  5. リーダー力の低下

 第1の原因は、成果主義の導入によって、「組織」よりも「個人」の成果を評価する傾向が強まったことです。力を合わせて共にひとつの成果を出す機会が減ったために、助け合おうという意識が薄れ、職場の一体感が損なわれてしまったのです。

 第2は「個人」の成果を評価する傾向が強くなったこと。このため、上司や先輩も自らの成果を上げようと、「組織」よりも自分を優先させる必要が生じ、人を「育てる」という風土が欠落している組織が増えたことです。

 第3に上司や部下、同僚同士の信頼関係が希薄になりつつあることです。協力し合って何かをやろうという雰囲気が薄れているのです。

 第4は情報の停滞です。パソコンや携帯の普及に伴い、上司と部下、メンバー間での連絡をメールで取り合う組織が増えています。社内イントラネットも充実し、社内の連絡はイントラネットを使っているという企業も多いでしょう。横に座っている人とも話をせずに、メールで連絡を取り合う人もいると聞きます。メールは時間や相手の都合を考慮せずに、自分が伝えたいことを伝えたいときに伝えられる便利なツールではあります。しかし、文章ですべてを伝えることになるため、口頭で伝えていた時には容易に理解してもらうことができた、ちょっとしたニュアンスが伝わらなくなり、事実以外の情報が滞るようになったのです。

 第5に、リーダー力の低下です。繰り返しになりますが、「個」の成果が「組織」の成果に優先して評価されるようになったことで、リーダー自身もプレイヤーにならざるを得なくなりました。結果、リーダー力が低下してしまったのです。

 これらの5つの原因がからみあって職場がますます荒んでいるのです。若手を育てる上で、まずはこのような現状をリーダーがしっかりと認識する必要があります。

 では、白黒をはっきりさせすぎ、自分に自信がなく、コミュニケーション下手で、キレやすい若者たちをどのように育てたらいいでしょうか。私は、次の5つのステップに沿って取り組むことをオススメします。

  第1ステップ リーダー自身が自分を知り、自己変革に取り組む
  第2ステップ 承認する
  第3ステップ 強みを見つける
  第4ステップ 価値観を知る
  第5ステップ ビジョンを共有する