細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回は、職場を働きやすくする「存在に対する承認」と「自己開示」についてお話ししました。今回は、職場を活性化するということに焦点を当て、「部下を知る」ことについて詳しくお話しします。

部下の強みを知る

 職場の活性化には、部下との相互理解が欠かせません。前回お話しした「存在に対する承認」や「自己開示」を行うことも、部下との相互理解を深めるうえで大いに役立つ方法です。加えて重要になってくるのは、リーダーが「部下を知る」ことです。

 では、部下の何を知ればよいのでしょうか。知るポイントは「強み」と「価値観」の2つです。

 まずは「強みを知る」です。誰しも能力に合った仕事を任されれば、大きな強みを発揮し、成果を出せるものです。私が以前、生命保険会社に勤めていたころ、営業所長として活躍できるようになったのは、部下の強みを知り、それを生かそうと考えるようになってからでした。

 先日、2009年春の選抜高校野球大会で優勝した長崎県立清峰高校野球部の吉田洸二監督の記事を読む機会がありました。彼は、選手たちの強みを生かすことを常に意識して、指導に当たったと言います。清峰高校は県立高校であるため、推薦などの制度を利用して、効率的に優秀な人材を集められる私立の高校に比べると、人材獲得の点では不利な環境にあります。しかし、吉田監督は、彼らの持てる素質を最大限に引き出し、能力を開花させたのです。

 部下の強みを知るために必要なことは、仕事を任せて行動を観察することです。人は自分を良く見せたいと思うと、つい、できないことを「できる」と言ったり、その気もないのに「頑張ります」などと言ってしまうことがあります。しかし、言ったことをきちんと実行に移しているのかどうかが、大切なのです。ですから、部下の発言ではなく、行動を観察することが重要となります。

 言葉は嘘をつくことがありますが、行動は嘘をつきません。部下の行動を見ながら、ときには時間を設けて、話してみるのも良いでしょう。

 私も営業所長を務めていた際には、部下を観察して、いろいろと話し合いました。そして、お客様と接することが好き、資料作りを任せれば完ぺきにこなす、いろいろな人への気配りがうまくできるなど、それぞれの強みを見つけ、それを生かせる仕事を任せるように常に心がけていました。