細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回は、「一致協力する組織」を作るための第2ステップ「働きやすい職場作り」についてお話しました。今回からは、働きやすい職場ができた後、結果を残す組織に変わるために、「組織遂行力を高める」ことについて、2回に分けて紹介します。

能力の高い人が集まっても成果は出ない

 まず、肝に銘じてほしいことがあります。それは、たとえ能力の高い人が何人いたとしても、「組織遂行力のない組織では、成果を出すことはできない」ということです。

 組織遂行力とは、「組織の目標に向かってメンバー全員が一致協力して決めた戦術を実行し、成果を出し続ける力」のことです。この力がないと、組織として成果を上げていくことは難しくなります。IQの高い人が数多くいるにもかかわらず、業績が上がらない組織は数多くあります。なぜなら、それぞれの能力が十分に発揮されていないからです。

 その主な原因は何でしょうか。私は次の4つだと考えています。

  1. メンバーが組織のゴールやビジョンを理解できていない
  2. 組織の成功を個人の成功と結びつけられていない(これを達成したら、自分にどんなメリットがあるのか、わかっていない)
  3. 情報の共有ができていない
  4. 高い目標や戦術を持っているものの、実践・実行が伴っていない

 少し前のことになりますが、2008年の北京オリンピックで日本の女子ソフトボール・チームが金メダルを獲得しました。優勝の瞬間には、多くの人が大きな感動を覚えたのではないでしょうか。一方で、人気も才能も兼ね備えたプロ野球選手で構成された「星野ジャパン」は、残念ながらメダルを獲得することができませんでした。この結果を分けたポイントはいったい何だったのでしょうか。それは、組織遂行力を発揮できたかどうかだと、私は考えています。女子ソフト・ボールチームは、優勝するというゴールに向かって周到に準備し、米国チームに勝つために戦略を練り、全員が一致協力して、力を発揮したのです。一方で星野ジャパンは、一流のプロ野球選手を集め、金メダルを取って当たり前と言われましたが、勝つための準備は十分にできていたでしょうか。しっかりとした戦術や戦略を練り、それを実践・実行していたでしょうか。一人ひとりの能力が高くても、同じゴールに向かわないと、金メダルは取れない――組織遂行力は発揮されないのです。