細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回、「一致協力する組織」を作るための第1ステップ「リーダーの自己変革」の第2段階として、リーダーの自己分析および思考の枠についてお話しました。今回は、「リーダーの自己変革」の第3段階として、フィードフォワードおよびピアコーチングについて解説します。

フィードバックは受け入れにくい

 前回の解説の中で、リーダーとして自己分析をした結果、自身の強みや弱みがわかったら、弱みの改善・克服に努めることが必要であると述べました。今回は、弱みの改善・克服を実践する際に役立つ、フィードフォワードという新しい手法についてご紹介します。

 フィードフォワードとは、その言葉からもわかるように、フィードバックの反対の意味を持つ言葉です。私たちの言動には、自分では気づくことがことできない改善点が数多くあるものです。ビジネスパーソンとして成功するには、周りの人からフィードバックをもらい、自身を改善していくことが大切です。しかし、人間は素直にフィードバックを受け入れにくい傾向にあります。例えば、1000人の人がいたとしたら、周りの人からのフィードバックを受け入れて、行動変革をしようとする人は、おそらく3~10%程度だと思います。残りの90%以上の人は「自分は正しい」と自己正当化したり、フィードバックをくれた人に悪感情を抱いたりしてしまうのです。

 また、部下から上司にフィードバックをするのは、なかなか難しいものです。上司と部下の間に深い信頼関係があり、部下が自分のことを考えてフィードバックしてくれていると上司が思える場合などでは、機能することもありますが、一般的には期待できないでしょう。昨今世間を賑わせている食品偽装の問題は、部下から上司へのフィードバックが難しいことの代表的な例です。早くから従業員が不正に気付き、経営者に対してフィードバックを行っていたケースもありましたが、経営者はそのフィードバックをもみ消したり、無視したりして、偽装を繰り返していました。