人の成長を妨げる「思考の枠」

 自己分析をして自分の改善点がわかったうえで、知っておいてほしいことがあります。それは「思考の枠」という思い込みや固定観念のことです。2008年は7人の犠牲者を出した東京・秋葉原での殺傷事件をはじめ、無差別に人を傷つける事件が数多く発生しました。私は、これらの原因は「思考の枠」だと思っています。リーダーが自己変革をするうえで、この「思考の枠」を認識し、それを広げていくということが欠かせません。

 「思考の枠」が固く、厚い人の特徴は次のとおりです。
  (1) 自分が絶対に正しいと思っている
  (2)自分以外が問題だと思っている
  (3)行動変革をしない

 反対に、「思考の枠」が薄く、拡大する人は次のとおりです。
  (1)自己否定できる
  (2)人の意見をいったん素直に受け入れる
  (3)フィードバックの大事さを常に考える

 「思考の枠」が厚いと、人の成長を妨げたり、勝手に解釈して行動するといった弊害を生みます。

 人間は、本質的に、自分の都合の良いように考え、見たいように見る傾向があります。風評やうわさなどを聞いて、「あの人はこういう人である」「これはこういう意味である」と自分で勝手に考えます。職場で「○○さんはルーズだ。仕事が遅い」と思うとそのように見え、「まじめな人間だ」と思えばそのように見えてしまいます。

 人間は「思考の枠」にはめられたら、すさまじく窮屈に感じます。上司に、「君はこういう人間だ」「君は酒癖が悪い」「君は仕事が遅い」のように思われると、部下はとてもつらくなり、仕事ができなくなるか、転職するか、精神的に病んでしまいます。

 子供についても同じです。子供には無限の可能性があり、どこまで伸びるかわかりません。もしかしたら、タイガー・ウッズやイチローになるかもしれません。しかし、親が「思考の枠」にとらわれ、型にはめてしまうと、成長しなくなってしまいます。「思考の枠」は人の成長を妨げるのです。