細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 前回はコンプライアンスが注目される背景およびコンプライアンス違反を起こしやすい組織に焦点を当ててお話しました。今回からは、ビジネスコーチングの手法を利用して、社内のコミュニケーションを活性化し、コンプライアンスを強化していく方法について解説していきます。

 先日、熊本県にある清酒メーカー「美少年酒造」の社長が謝罪会見を行いました。会見によれば「美少年酒造」は、事故米偽装事件で、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で起訴された米販売会社「三笠フーズ」の関連会社「辰之巳」から、一部等級の低い米を納入させたのに、高級米を納入させたことにして、浮いた分の差額を裏金に回していたのです。この慣行は1982年ごろから続いており、その額が200万円を超える年もあったそうです。

 謝罪会見を行った社長が就任した1987年にはすでに行われていたそうですが、事故米の事件が明るみに出たときに三笠フーズにだまされたと言っておきながら、その三笠フーズの関連会社から長年にわたって裏金を受け取っていたのですから、自分自身のコンプライアンス意識が足りなかったと言わざるを得ません。

 今回の件のように、経営者やリーダー自身に、コンプライアンス意識が欠如していることは良くあります。「これくらいなら大丈夫だろう」「この程度なら許されるだろう」と考えている経営者やリーダーも少なくないでしょう。

 しかし、前回述べたように、ルールを守らずに金儲けをする企業は許されないという意識が世間に広がり、コンプライアンスへの関心が高まって、これまでの常識が通用しなくなっていることを肝に銘じる必要があります。

 その上で、自分自身がどれくらいコンプライアンス意識を持っているのかを知ることはとても大切です。今回は、セルフコンプライアンス・マネジメントの能力をチェックしていきたいと思います。