河合克彦
株式会社 河合コンサルティング 代表取締役

 ある経営者からこんな相談を受けました。「このところの不況で売上が落ち込み、赤字になってしまいました。このような状況なので今度の昇給はストップしようと思っていますがどうでしょうか」――。この不況で多くの企業が赤字に陥っています。このような考えをする経営者は多いのではないでしょうか。

 私はこのような相談には次のように答えています。「昇給ストップはいけません。必ず昇給は行う必要があります。昇給ストップということは、今年新卒入社した者は初任給の状態がずーと続くということですよ。それでは生活ができません。子供を育てることができません。昇給ストップだけが解決策だと考えていませんか」。

 確かに赤字で人件費を抑えたい気持ちは分かります。しかし、その限られた人件費原資の中で、昇給ストップ以外のいろいろな対策を探っていく必要があるのではないでしょうか。要は人件費を抑えたいのですから、抑えるための対策を人件費全体という観点から考える必要があるのです。つまり、これからは総額人件費管理という発想が必要なのです。」と答えています。

 つまり連想ゲーム的発想で「不況⇒売上減⇒赤字⇒コスト削減⇒人件費⇒昇給ストップ」ということで「昇給ストップ」という考えが頭をよぎるかもしれません。しかしこの考えは危ういと思ってください。

 何故、「昇給ストップ」はダメで、総額人件費管理という発想が必要なのか、今回を含めて3回に分けて解説したいと思います。