松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 代表取締役社長

 今回は「多様性とは何か」というテーマについて、考えてみたいと思います。

 多様性とは、言うまでもなく人の多様性を指しています。ダイバーシティマネジメント(多様性のマネジメント)においては、性別、国籍、年代などの人の外面的な多様性だけではなく、それらによって異なる価値観などの内面的な多様性をマネジメントの対象としています。

 しかし、今回、「多様性とは何か」について考える意図は、多様性自体の分析や分類を行うことではありません。ここで言う「多様性とは何か」という質問は、「多様性とは『企業にとって』何か」を意味しています。

 ダイバーシティマネジメントが多くの企業の経営課題として取り上げられています。目下の課題は女性の活躍推進が中心ですが、取り組み状況は企業によって異なります。女性活躍推進をダイバーシティ推進としてとらえて積極的に行っている企業もあれば、取り組んではいるもののさほど優先度が高くない企業、まだ模様眺めをしている企業と様々です。

 多様性にどれだけ重きを置くかは、多様性が「企業にとって何か」をどう考えるかに依存しています。その考え方が、企業によって、人によってまちまちであることが、ダイバーシティマネジメントの重点が今一つ定まらない要因なのではないかと思われます。

 そこで今回は、「多様性とは何か」という問題に対して、それが目的か、手段か、条件かという観点から検証していきます。少々、禅問答のような議論をこねくりまわしているように感じられるかもしれないことを、はじめにお断りしておきます。「多様性」をあえて様々な角度から見てみることによって、「多様性とは何か」という問いに対する理解が深まると考えています。