松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 代表取締役社長

 前回はリーダーに求められる2つの能力のうち、ビジョンを描く能力について書きました。今回はもう1つの「シナジーを生み出す」能力について解説します。

矛盾がシナジーを生み出す

 組織の進歩や創造は、組織メンバー個々人の「違い」が発揮されることによって起きるということを前々回に述べました。また、個々人の違いが発揮されるためには、それぞれの価値観や信念といった「内の軸」がしっかりとしていなければならないことも述べました。このような「個の自立」は単にメンバーだけの問題ではなく、リーダーにはそれを支援し、メンバーの潜在力を引き出していく役割が求められます。

 リーダーが「部下は言われたことをきちんとやればいい」というスタンスでは、リーダーシップを発揮しているとは言えません。それは「外の軸」を押し付けていることであり、メンバーの「内の軸」を無視していることを意味するからです。そのような状況からは組織の進歩が生まれません。

 しかし、個々人の潜在力を引き出せば、それだけで組織の進歩が生まれるというわけではありません。メンバーの一人ひとりがそれぞれの価値観に基づく違いを発揮するとそこには矛盾が生じます。その矛盾を矛盾で終わらせず、シナジーに変えることによって、新たな創造がなされるのです。したがって、「シナジーを生み出す」能力とは、メンバーの潜在力を引き出し、さらに矛盾をマネジメントする能力であると言えます。