松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 代表取締役社長

 前回、企業が進歩や創造を生み出すには、人材の異質性や多様性といった「違い」を活かすことが必要であり、その前提として個々人のキャリア自立が不可欠であると述べました。しかし、もっともキャリア自立が必要とされているのは、リーダーの立場にある人々です。

 リーダーが自分の「内の軸」をしっかりと持っていなければ、外の変化に翻弄されてしまいます。企業を取り巻く社会や企業自体が、大きな変化を絶え間なく繰り返す環境において、変化に翻弄されるようなリーダーには組織を託せないことはいうまでもありません。

 変化に対して「軸がぶれる」リーダーは、組織を誤らない方向に導くことができず、組織を疲弊させてしまいます。また、そのような「ぶれる」リーダーは、そもそも部下に信頼されません。部下に信頼されない限り、リーダーシップは存在し得ません。リーダーシップとは、役職ポストにつくことによって得られるものではなく、部下に、「リーダーシップがある」と認められることによって、はじめて成立するものだからです。

 リーダーにリーダーシップが必要であることは、あまりにも当然のことのように聞こえますが、旧来の人材開発パラダイムにおいてはほとんど欠落していた概念であるといっても過言ではありません。なぜなら、旧パラダイムのもとでリーダーシップ開発は、さほど必要とされてこなかったからです。