田島俊之
エム・アイ・アソシエイツ(株) ディレクター

動機と行動の関係

 「口先ばかりで行動が伴わない」「口は出すが仕事はしない」といったように、シニア社員の行動傾向を問題視する声が後を絶たない。これらの批判に対してあえて否定はしない。が、なぜそうなってしまったのか? 何が原因なのかの議論にはなかなか発展しないのも事実だ。すでに着陸モードに入ったシニア層に、そのままそーっと波風立てずに着地してほしいからだ。

 しかし、雇用の延長によって、シニア層にこれから10年15年を働いてもらわなければならない状況の中で、彼らが着陸モードのままでは企業は立ち行かなくなる。一方、リストラ対策を進めなければならない企業においては、シニア層がそれに無縁でいられるはずもない。どちらのケースでも、シニア層に高いモチベーションをもって働いてもらうための体制づくりが必要となる。

 人が行動を起こす時には、動機・性格・価値観・コンピテンシー・知識スキルといった要素が関係していると言われている(図1参照)。

 特に動機や性格はその人が本来持っている特性であり、そこから発生する行動はごく自然に出やすい。一般的に成人後は変化しにくいと言われている。しかし、多くのビジネスパーソンはさまざまな経験を通して自分なりの価値観を構成し、必要なコンピテンシーを開発し、新しい知識・スキルを習得して、それらを行動に結び付けながら仕事の成果を導き出してきた。仕事を通して、本来は得意ではなかった行動も実践してきたのだ。但し、成果に結び付けやすい行動という観点でみれば、少なくとも価値観と合致する行動、さらには自らの動機に合致する行動ができることが理想的であろう。