田島俊之
エム・アイ・アソシエイツ(株) ディレクター

シニア層のライフコース分析

 シニア層とはどの年代を指すのだろうか。明確な定義はないようだが、私は企業に働くビジネスパーソンを対象にして、シニア層は50代から60代、ミドル層は40代ととらえている。では現在のシニア世代は今までどのようなキャリアをたどってきたのであろうか。簡単なライフコース分析でみてみよう(図1参照)。

 ある特定の歴史的出来事(時代効果)をある特定の年齢(年齢効果)で体験した人たちにもたらされる類似の効果をコーホート効果という。シニア層のキャリア開発課題やそれに連動した人事施策を模索する時に、その世代ごとのコーホート効果を俯瞰しておくことは重要だ。例えば「リタイア」という言葉に対するイメージも、団塊世代とポスト団塊世代では異なっている。

 2005年の博報堂の調査によれば、団塊世代のイメージは、「新たな出発」と「人生のひと区切り」がほぼ同率一位。それに対してポスト団塊世代のそれは、「新たな出発」が「人生のひと区切り」を引き離して1位である。これはポスト団塊世代にはつながったキャリアにおける「新たな出発」のイメージが大きくなっていることを示している。今までのキャリアをいったん終了し、そこからまた別のキャリアを歩むという考え方は見えない。60歳定年で引退し第二の人生を歩むという従来支配的であったリタイアイメージが薄まってきていることがうかがえる。

 図中に「変化の狭間にゆれる心」と示したように現在のシニア世代の心はまさに変化に対する戸惑いで覆われている。そして時間の経過とともに次のシニア世代が生まれる。10年後のシニア世代は「静観的でクールな心」と表現した現在のミドル層である。その後には次の世代がシニア層になっていく。自社のシニア世代のキャリア開発課題を探るうえでは、ライフコース分析による世代ごとのコーホート効果と自社の歴史的変遷の結果としての組織風土要素を加味しながらあぶりだすことも重要である。