鳥居勝幸
サイコム・ブレインズ株式会社代表取締役COO

「部下にコーチングをやっている時間などない」という本音

 いま多くの企業でコーチング研修が行われています。リーダーがメンバーに問いかけて考えさせ、メンバーの話を傾聴して気づきや意欲を引き出すのがコーチングです。メンバーは、自分の考えをリーダーに話しながら思考を整理したり、過去の成功体験を思い出したり、大切なポイントに気づいたりすることができます。

 コーチングは、営業マネジャーが営業パーソンを育成するために不可欠なコミュニケーション手法です。営業パーソンは、上司や顧客に言われたことをやるだけではなく、自ら考えて行動する力をつけなければなりません。そのために、営業マネジャーは部下に「考え癖」を付ける必要があります。「自分で考える」ということをしないまま優秀な営業パーソンになった人を、私は見たことがありません。

 しかしこれほどコーチングの考え方が普及した今でも、それを実践しようとしない"アンチコーチング派"は少なくありません。その理由の中でもっとも多いのは「コーチングを行う時間がない」というものです。

 「部下一人にコーチング面談を行えば1時間はかかります。それを二人にやれば2時間です。外が暗くなる頃に客先から帰ってきて、その日に必要な事務処理を終わらせて、それからコーチングをしようものなら、私も部下もヘトヘトになってしまいます」

 確かに営業マネジャーは多忙です。今やほとんどのグループリーダーや営業課長がプレイングマネジャー化しています。彼らに時間の余裕はありません。「傾聴するよりも教えた方が速い」と思ってしまうのも無理はないかもしれません。