野本明日香
株式会社JTBモチベーションズ コンサルタント

日本人の仕事に対するモチベーションは先進国の中でもとりわけ低い、という事実をご存知でしょうか。そして、残念ながら様々な調査から、それが年々下がっている、という事実があります。

 「リストラで人員削減され、残った社員に業務が回ってきて日々忙殺される」「先行きの見えない不安感にさいなまれる」「皆忙しく、仕事を押し付けあっている感がある」「変化についていくのがやっとだ」「何となく会社の空気が重くなった」「笑顔が少ない」「毎日が同じことの繰り返しでマンネリ化」「みんなで協力しあう風土がなく、何となく孤独感を感じる」「部下が何を考えているのか分からない。やる気があるのか」「一緒に働いていた人がメンタルの不調で休職に入った」などなど・・・。皆さんの周りでこんなことを感じることはないでしょうか。

 1990年代は「モチベーション」と言っても、ピンとこない人が大半で、世の中でそう多くは使われていない言葉でした。それが、ここ10年くらいで誰もが気軽に口にする言葉となり、企業の経営課題としても極めて重要視されるようになってきています。企業の経営戦略の中に「従業員のモチベーション向上」という言葉を目にするのも、当たり前になってきました。

 2009年8月に労務行政研究所により発表された人事部課長アンケートでは「今後重視する人事施策」の第一位が「社員のモチベーション向上」でした。なぜ、今これだけ「モチベーション」という言葉が問題視されるのでしょうか。それは、ひとえに、様々な要因から「働く意欲」を保ちにくくなっているからに他なりません。

 かつての高度成長期時代は、会社に就職して真面目に頑張れば給与も上がり、それなりに昇進昇級もできました。業績も右肩上がりで、会社のためにと滅私奉公するのが誇りでもあり、一家の大黒柱であるお父さんは、家族のためにも頑張ります。当時は父親1人の給料で妻と子供3人を養うことができ、車やマイホームも一つの鮮やかな夢にもなりました。

 翻って今はどうでしょうか。平均世帯所得(名目金額)は1999年(10年前)が626万円、2008年度は556万円。ここ10年、世帯所得が下がり続けています。お父さん1人の給料で養えるのは、せいぜい妻のみ。ポスト不足で昇進はできず、景気後退、リストラ、などの不安因子が入り乱れます。一生懸命頑張っても、果たしてどれだけ報われるのか?モチベーションが下がるのも頷けます。

 実際、当社が様々な企業に対してコンサルティングする中でも、ワーク・モチベーションを支える様々な因子のうち、報酬がモチベーションを牽引する要因になっている会社は皆無といって良い程少ないという現実があるのです。

 しかし、モチベーションを支える因子は報酬だけではなく、これらを上手くコントロールしていくことでモチベーション向上のみならず業績向上につなげていくこともできるのです。

※モチベーション因子については「野本明日香のモチベーション・クリニック」を参照。