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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「超高齢社会に対応する医学教育、臨床研修を考える」開催告知

第29回 日本医学会総会 2015 関西 学術講演 併催シンポジウム

「超高齢社会に対応する医学教育、臨床研修を考える」開催告知

2015.02.26 構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

超高齢社会における医療の目標は健康寿命の延伸だが、これを支える「地域医療」の充実、高齢者医療を含む全世代を診療できる「総合医」の育成は喫緊の課題である。地域医療と総合医、この2つの課題解決を約半世紀にわたり、卒後医学臨床研修事業として実行してきたのが、沖縄県立中部病院である。同院では、地域医療の中でも特に救急医療と離島・へき地医療支援に重点を置き、総合医育成に力を注いできた。

2015年4月13日(月)、第29回 日本医学会総会 2015 関西 学術講演 併催シンポジウムとして、「超高齢社会に対応する医学教育、臨床研修を考える」をテーマにシンポジウムが開催される。本シンポジウムでは、沖縄県立中部病院の卒後医学臨床研修事業を軸に、超高齢社会に求められる医学教育、臨床研修のあり方を検証する。

開催を前に、独立行政法人JCHO本部 研修センター長の徳田安春氏と沖縄地域サポート理事長 沖縄県立中部病院元院長の宮城良充氏に、本シンポジウムの趣旨やポイントについてお話を伺った。

■開催概要:
日時:2015年4月13日(月) 9:00~11:00
会場:グランドプリンスホテル京都 ロイヤルルーム

■プログラム

開会の辞 : 座長・徳田安春 氏(独立行政法人JCHO本部 研修センター長)
基調講演「沖縄県立中部病院の卒後医学臨床研修事業」(20分)
講師・宮城良充 氏(沖縄地域医療サポート理事長 沖縄県立中部病院元院長)
第1部:現在の医学教育、臨床研修制度を検証する
講演 1「2004年開始の新臨床研修制度の意義と課題」(20分)
講師・伊藤雅治 氏(全国訪問看護事業協会会長 元厚労省医政局長)
第2部:沖縄県立中部病院の卒後医学臨床研修事業を検証する
講演 1「超高齢社会を担う若手外科医の育成」(20分)
講師・袴田健一 氏(弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座・小児外科学講座教授)
講演 2「地域の高齢者を支えるプライマリケア医」(20分)
講師・本永英治 氏(沖縄県立宮古病院副院長)
講演 3「救急医療の展望,求められる変革」(20分)
講師・寺澤秀一 氏(福井大学医学部教授)

※各講演終了時に座長と各講師による質疑応答(5分)を行う。



沖縄県立中部病院の果たしてきた役割
徳田安春 氏(独立行政法人JCHO本部 研修センター長)

近年、人気病院とその要因が繰り返し分析されているが、結果は次の3つの事実に収束すると考えている。

1つ目は、スーパーローテーションができることだ。多くの卒前教育が見学型で行われるが、それでは各科の実情は体験できない。スーパーローテーションで主要な科を回り、自分に合った診療科を選択したいと考える研修医は多い。

次に、年間を通して救急当直や日直ができること。救急診療は初期研修の中でも最重要の医療現場である。将来進む診療科にかかわらず、若いうちに救急診療を経験しなければならないのは、1人当直などの場面で必ず救急診療のスキルが求められるからだ。スーパーローテーションで救急科を選択した3カ月間だけでは、救急診療のスキルは到底身につかず、常日頃から救急患者を診療し経験症例数を蓄積させることが重要だ。

最後に、ジェネラルな実力をつけられることだ。将来、内科系の臓器別診療科に進む医師であっても、初期研修の後半からすぐに循環器や呼吸器等の臓器別診療科におさまるのではなく、3年間は内科の総合的能力(総合内科力)を身につける研修が必要である。

これは、外科系診療科を希望する医師も同様だ。消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、整形外科等に進む医師も、まず総合外科(一般外科)のスキルを身につける。高度高齢社会に突入し、併存症のない単一臓器的疾患の患者は少ない。また、ジェネラルな実力があれば、離島やへき地でも自信を持って診療でき、グローバル医療にも参加することができる。

こうした研修ができる病院のプロトタイプモデルが沖縄県立中部病院である。1960年代に米国人指導医集団が沖縄を訪れ、多数の離島診療所を抱える沖縄県で地域医療を支える人材養成の拠点を立ち上げた。そこに本土医学部国費留学生が続々と帰還し、日本人指導医として米国人から指導医の座を引き継いだ。そして、数の国内留学生や見学者を受け入れ、その後全国に広がる有名研修病院のモデルとなった。研修同窓生の活躍も目覚ましく、県内及び国内の臨床教育のリーダーを多数輩出している。

本シンポジウムでは、日本中の医師が集結する京都において、過去、現在、そして未来における沖縄県立中部病院プログラムの役割について議論すると共に、全国の研修病院の目指す方向を示したい。


シンポ開催を企画して
宮城良充 氏(沖縄地域医療サポート理事長 沖縄県立中部病院 元院長)

2年後の2017年、沖縄県立中部病院での卒後臨床研修事業が開始されて50年の節目を迎える。このような時期に日本医学会総会の併設イベントとしてシンポジウムを開催できることは、大変名誉で喜ばしいことだ。また、さまざまな議論が重ねられ、新専門診療科の「総合診療科」が正式にスタートするこの時期に、シンポジウムが開催される意味は極めて大きい。今後の地域医療、高齢者医療を担う若き医療人に有益なシンポジウムになるよう力を尽くしたい。

沖縄県立中部病院は戦後間もない1946年に開設された。人も物もお金もない中での復興が始まり、医療も同様に何もない状況からスタートした。今でも地方の医師不足から医療崩壊などといわれているが、当時の沖縄の医師不足はその比ではなかった。数少ない医師は子どもから高齢者、軽症から重症、内科から外科、風邪からがんまでの幅広い対応が求められ、それに応えてきた。

沖縄は、独自に医師を育てることで医師不足解消を目指した。中部病院での研修制度は、選抜した若者を内地の大学医学部に留学させ、その卒業生を修練させる形で始まった。研修の到達目標は自ずと多くの患者を“今”救うことに向けられた。それは、1.救急蘇生法をいつ、いかなる場所でも独立して行える。2.幼児から成人までの気管挿管、心マッサージ、輸液路の確保ができる。3.内科、外科、小児科、産婦人科の救急症例の初診、診療、処置が1人でできる。4.正常産が1人でできるという、4つのシンプルなことだっだ。そして、徹底した on the job training のもと、多数症例を経験して研修を終了し、各地に赴任、定着してきた。

現在、沖縄には“たらい回し”という言葉はなく、医師数も全国の平均値を上回る状況にある。「中部病院は医師でもなく、看護師でもない、わけのわからない教育をしている」という風評にも揺るがず、実直にゼネラル(general)と言い続け、医師を育ててきた結果だ。自ら望む医師を自ら育て、地域医療を担ってきた経験から、超高齢社会における医療の礎石も「ゼネラルにあり」と考えている。

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