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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「ASIAN AGING SUMMIT 2012」開催

「ASIAN AGING SUMMIT 2012」開催

第38回

2014.06.26 構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子
文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

11月26日(月)、27日(火)、28日(水)の3日間にわたり、超高齢社会における"この国のあり方"を考え、産業振興を実現することを目的に「ASIAN AGING SUMMIT 2012」が開催された。

開催報告の第38回は、11月27日のセッションⅠ「高齢者ライフスタイル~65歳、70歳からの生き方」の中で行われた座長と講演者の1問1答をリポートする。
このセッションは、藤井省吾氏(日経ヘルス編集長)を座長に、松本すみ子氏(NPO法人シニアわーくすRyoma21理事長 アリア代表取締役)、倉片恒治氏(住環境研究所所長)、岩本俊彦氏(東京医科大学老年病学講座主任教授)、鈴木隆雄氏(国立長寿医療研究センター研究所長)の4名で行われた。

日経ヘルス編集長 藤井省吾 氏
日経ヘルス編集長 藤井省吾 氏
NPO法人シニアわーくすRyoma21理事長 アリア代表取締役 松本すみ子 氏
NPO法人シニアわーくすRyoma21理事長 アリア代表取締役 松本すみ子 氏
住環境研究所所長 倉片恒治 氏
住環境研究所所長 倉片恒治 氏

主体的に始めることが
新たな生きがいにつながる

藤井 シニア世代が社会で活躍するために再雇用制度などもあるが、主体的に取り組んでいる人が多数いると松本さんは講演で話された。自分でビジネスをしている人たちの顔つきや生きがい感は、他の人たちとどのように違うものなのか。松本氏にお聞きしたい。

松本 それほど違いはない。個人で、あるいは夫婦や仲間と新しい事業や店、NPO法人などを立ち上げる人は最初から確固とした考えがあり、勢いのある人だと思われている。しかし実は、みんなそれほど変わらない。持っている思いを出すか、出さないかの違いでしかない。

例えば、埼玉県深谷市で、深谷シネマという映画館を市民基金で運営している人がいる。この人は、純粋に映画が好きという理由だけで深谷シネマを始めた。「映画館が少なくなっているが、定年退職したら二番館のようなイメージで、映画ぐらい地元で見たい」と思ったのが原動力だ。それで呼びかけてみたところ、共感して一緒にやりたいという人がたくさん手を挙げた。

また、個人で介護タクシーを開業した例がある。その人自身、介護の知識などは全くなかったが、車が好きという理由で始めた。定年後、好きな車を使って何か社会貢献ができないかと考えたときに、ちょうど2006年に介護タクシー制度ができ、一般の人でも開業できるようになった。

シニア世代ならではのホスピタリティ、年齢を重ねたがゆえの思いやり、もてなしの心遣いが活きて、現在は仲間5人で活動している。ただ、企業で一生懸命働いて頑張ってきた人ほど、「個人的なことを表に出すのはいけない」と思っている傾向がある。定年退職後は、個人的なことを出さないと何にも面白くない。「誰かが声をかけてくれたら」ではなく、「ちょっと声を出してみよう」と主体的に始めることが、地域社会への貢献、他の若い世代を支えることになり、新たな生きがいにつながっていくのではないか。


自己実現できるスペースを持つことで
家族がより快適に暮らせる

藤井 倉片氏には、60代以降の夫婦がそれぞれ自立し、互いの個を尊重し合う「シングルミックス」の暮らしを提案いただいた。データを見てみると、「夫婦といえども一人の時間が欲しい、それでこそ仲良く暮らせる」というシングルミックスの意識は女性の方が高い傾向にある。さらに、「友人と積極的に交流したい」「社会との接点を継続したい」という意識も、女性の方が高い。このような状況でシングルミックスを進め、女性の思いを優先させていくと、男性は孤立したり、引きこもったりしないか。

倉片 会社の中などでも個人専用スペースを設けることによって、男性は引きこもるのではないかという話がある。しかし、自己実現をするスペースをきちんと取ることが必要だと考えている。

古代インドにおける考え方で、人生を25年に区分する「四住期」というものがある。0~24歳までの「学生期(がくしょうき)」は、社会に育てられる学びの時期。25~49歳までの「家住期(かじゅうき)」は、社会の一員として貢献し、子どもを育てる時期。50~74歳までの「林住期(りんじゅうき)」は、自分の人生をもう1度生き直す、最も輝かしいときだ。従来は、学生期や家住期に焦点をあてたファミリー向けの住まいが中心であり、林住期にふさわしい住宅がなかった。夫婦が自立した個(シングル)として適度な距離感を保ちつつ、コミュニケーションできる(ミックス)住宅は、リタイア後の時間を充実させ、活力のある暮らしを実現するのに大切なポイントとなる。

例えば、シングル・スペースに引きこもって、パソコンの前でネットの世界に入り込んでいても、それでいきいきとできるならば、それはいいことなのではないか。高齢者の懇談会でこの話をしたときは、「シングル・スペースの名前を“パワールーム”にしたらどうか」というような提案も出た。夫婦が共に過ごすリビングは“ミックス・スペース”であり、コミュニティエリアだが、独立した居場所であるシングル・スペースは、いわば基地のようなもの。そこで趣味など自分のことに没頭できれば、より楽しく快適に暮らせる。そういう場を作ることが重要だと思っている。

(構成:AGING SUMMIT取材班 内藤悦子 
 文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

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