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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える循環器診療におけるチーム医療推進を目指し
「東京ハートラボ」を開催

循環器診療におけるチーム医療推進を目指し
「東京ハートラボ」を開催

2014.02.25 取材:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

2013年12月7日、8日の2日間、榊原記念病院(東京都府中市)、メドトロニック・ジャパン(東京都港区)、品川セントラルタワー(東京都品川区)において、「東京ハートラボ」が開催された。これは、循環器疾患の診断や治療に携わる医師や検査技師を対象とした教育研修プログラムである。今回は、8回目となるこの研修の榊原記念病院のプログラムを取材した。

(取材:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

第8回東京ハートラボプログラム
http://heartlab.umin.ne.jp/program.html

専門知識の強化とチーム医療を目指す

心臓や血管の疾病を扱う循環器科は、治療の方法により、「循環器内科」と「心臓血管外科」に分かれる。心筋梗塞や心臓弁膜症といった循環器系の疾患が疑われる場合、まず循環器内科が総合診断をし、必要に応じて外科医が手術するのが従来の治療方法だった。しかし、近年は、カテーテルという管を血管内に挿入して行う検査や手術の技術が発達したことから、検診から治療までを両者を合わせた循環器チームが行うケースが増えている。

循環器内科の場合、医師は二次元のエコー画像を用いて心臓疾患を診断・治療するが、適切な診断・治療のためには、心臓を三次元として捉えた上で、画像データを分析し、必要な診断を下す必要がある。同様に、診断に用いるエコー画像を撮影する技師も、的確な画像を撮影するためには、心臓そのものについての知識が求められている。

一方、心臓血管外科も、エコー画像に基づく診断の知識が必要になる。外科医の場合、術中に見るのは、止めた状態の心臓だが、そこに画像所見を重ねてみることができれば、より的確な処置ができるからだ。

つまり、循環器系疾患の診断・治療をより良いものにするためには、内科医、外科医、技師が心臓そのものや画像診断などの知識を強化・共有すると共に、専門分野をまたいだ連携が必要となる。ところが、現実的には専門分野間の壁が理想的なチーム医療を阻害しているケースが少なくない。

こうした問題の解消を目指し、企画されたのが、「東京ハートラボ」である。この研修を企画した主要メンバーの1人、東京ベイ・浦安市川医療センター・センター長の渡辺弘之氏は、その目的を次のように説明した。

「高齢化に伴い、心疾患を潜在的に抱える人の数は増えています。より的確な診断・治療を行うためには、異なる専門家が協力して治療に当たるチーム医療が欠かせません。外科と内科、技師が最新の知識を共有し、新しい知見を古典的な知識に結びつけ、新しい文脈を生み出すことが、東京ハートラボの目的です」。

ウェットラボで三次元的に心臓を理解

今回の東京ハートラボでは、「大動脈弁逆流の診断と治療」を主要テーマに、セミナー、レクチャー、手術室ライブ、症例検討会、経食道エコー検査(食道の内側から心臓側に向けて発信した超音波をモニターに映し出して診断する検査:TEE)の解説、ウェットラボなどが行われた。中でもこの研修の目玉となっているがウェットラボだ。

このウェットラボとは、動物の器官を使った手術や実験のことで、今回は、榊原記念病院で「心臓の解剖」、メドトロニック・ジャパンで「大動脈弁置換術」がそれぞれ行われた。渡辺氏は、「心エコーの二次元の画像を見て正しい診断をするためには、心臓を三次元的にイメージできることが重要で、そのためには、生の心臓にじっさいに触れて、心臓全体を立体的に理解しておく必要がある」と主張する。

榊原記念病院で行われた「心臓の解剖」には、循環器内科の医師や検査技師ら約100名が参加、3~4人が1つのチームとなり、共同で心臓の解剖に取り組んだ。榊原記念病院心臓血管外科の福井寿啓氏による解剖のデモンストレーションが室内の各所に設置されたスクリーンやモニターに映し出され、参加者はその映像を見ながら、解剖を行った。また、サポートに当たる外科医が各テーブルを回り、直接指導や解説を行った。参加者は、いずれも真剣な様子でモニター画面と手元の心臓を見比べながら、組織の名称や機能を確認していた。

東北から参加したというエコー検査技師は、「実際に心臓に触れることで、普段エコーで見ている心臓を立体的に理解できた。また、左心室の方が右心室に比べ心室壁が厚いこと、大動脈弁がとても薄く繊細なものであることもわかった」と語り、生の心臓に触れることが、知識の強化につながることを実感した様子だった。

一方、下関から参加したという技師は、「以前ハートラボに参加し、チーム医療を行う上で役立つ知識を得られたことから、今回は後輩を連れて参加した」と述べ、ハートラボの主旨が医療現場に浸透しつつある様子が伺えた。

経験の共有が共通認識につながる

参加者の多くは、単独で参加しており、見知らぬ人との共同作業に、当初は口数も少なかったが、時間の経過と共に会話も増え、次第に和気あいあいとした雰囲気も生まれた。解剖する心臓の写真を1人が撮影し、それを他のメンバーにメールで送って情報を共有するといった様子も見られ、作業を通じ、協力関係も生まれていた。

「全ての医療者が立場を越えて、同じ場所で同時に体験することが、共通の認識を持ち互いを理解することにつながります。この研修は、専門分野をまたいだ知識の共有とチーム医療という理想を実現するための最初のステップです。多くの医療者に参加していただき、ここでの経験をぜひ、現場に生かしてほしい」と、渡辺医師は現場での実践に期待を寄せた。

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