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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
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「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第16回

2014.01.21 取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の16回目は、メイントラックで行われた各大学の取り組みから、岡山大学病院・新医療研究開発センター教授の那須保友氏の講演をリポートする。
(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

プログラムはこちら(PDF画像が開きます)

AROを目指した岡山大学病院の研究への取り組み

岡山大学病院・新医療研究開発センター教授 那須保友 氏
岡山大学病院・新医療研究開発センター教授 那須保友 氏

岡山大学では、探索的研究、臨床研究、企業治験までをシームレスかつ戦略的に推進する新医療研究開発センターを設置した。臨床研究についても、中央西日本臨床研究コンソーシアムをバックに、さまざまな研究のための体制を作っている。その中の研究シーズについて説明したい。

主なものは、早期探索的シーズとして腫瘍融解ウイルス及び自己癌免疫ワクチンのアデノウイルス(Ad-REIC)、心筋再生医療、人口網膜システム、さらには医師主導治験を予定している。

テロメライシン・腫瘍融解ウイルスは、アデノウイルス5型を基本骨格とするテロメラーゼ(hTERT)遺伝子プロモーターを組み込んだウイルス製剤である。岡山大学発のバイオベンチャー「オンコリスバイオファーマ(株)」を設立し、臨床研究を進めている。

まず米国でフェーズIの試験を終了し、さらに日本で頭頚部がんを対象に、2013年3月から臨床研究を始める。骨肉腫を対象に医師主導治験を現在準備中である。さらに、岡山大学で発見された不死化関連遺伝子・REICの研究を行い、アデノウイルスを用いて導入することにより、治療に応用できることを発見した。REIC遺伝子を局所に投与すると、がん細胞の選択的細胞死とCTL(細胞傷害性T細胞)の誘導、さらにはNK細胞の活性化が見られることを前臨床研究で実証した。これを自己がんワクチン化療法と称している。この研究についてはすでに米国でIND申請が終わり、承認を受けた。日本でも厚生労働省の承認を得て、2年前から臨床研究を始めており、ほぼPOCが確立できた状態である。前立腺を摘出する前にこの製剤を前立腺に投与し、6週後に摘出してその組織を見るという研究だ。投与局所においては、広範に細胞がアポトーシスを起こしていることを確認している。

次に紹介したいのは、光電変換色素結合ポリエチレン・フィルム(岡山大学方式人口網膜)。人工網膜システム(医療機器)は、医師主導治験で眼科を中心に人工網膜の研究が進んでいる。網膜色素変性症などで視細胞が変性している部分に人口網膜を入れる試みであり、世界中で開発されている。光ダイオード、電極アレイなどがあるが、大きさや生体適合性、電力の供給、発熱等の問題がある。岡山大学方式の人口網膜は、ポリエチレン・フィルムに光を受けると電位変化を生じる色素を付けることによって電気信号を起こす。高い光応答性を確認し、薄くて柔らかく、網膜に入れやすい利点がある。すでに実用化に向けて薬事戦略相談を実施済みだ。高評価と早期の治験開始の助言を得て、年内に治験を開始する予定である。

また、既存薬の適応拡大ということで、白血病の治療薬・タミバロテンを用いたGVHDに対する医師主導治験を我々のセンターで支援を行っていく。

(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子 
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

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