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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
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「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第15回

2014.01.14 取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の15回目は、メイントラックで行われた各大学の取り組みから、九州大学胸部疾患研究施設教授 九州大学病院ARO次世代医療センター長の中西洋一氏の講演をリポートする。
(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

プログラムはこちら(PDF画像が開きます)

九州大学の特徴と開発シーズ

九州大学胸部疾患研究施設教授 九州大学病院ARO次世代医療センター長 中西洋一氏
九州大学胸部疾患研究施設教授 九州大学病院ARO次世代医療センター長 中西 洋一 氏

九州大学には、複数の疾患レジストリーのグループがある。臨床研究中核病院プロジェクトの中で、それらのネットワークを活用していきたいと思っている。

九州の10大学が参加する一般社団法人の九州臨床研究支援センター(CReS九州)は、オープンデータセンターとして、臨床試験グループを一括して支援するような形をとっている。「NPO治験ネットワーク福岡」は、福岡県内の4大学をHABとして、企業治験の誘致とその支援を行っている。IRBの構築に関しては、よりブラッシュアップしていく。

続いて、我々が支援しているクリニカル・トライアルプロクジェクトについて紹介したい。臨床研究中核病院のプロジェクトについては、3つの治験を支援している。1つ目は、難治性全身性硬化症に対する自己造血細胞移植で、その有効性に関する検討第II相試験(フェースII)で行っている。全身性硬化症は難治性であり、高度の皮膚効果と内臓病変を伴う場合は、5年生存率は50%ぐらいしかない。開発目標としては、医療技術としてCD34の純化自己造血幹細胞移植を行い、免疫系に関する問題点を減らすことである。現時点では高度医療・先進医療として実施している。海外においてはフェーズⅢが始まっており、最終的には国内での薬事承認を取りたい。間質性肺炎についても、改善傾向が認められるということで、フェーズⅡbで検証していきたい。

2つ目は、切除不能進行再発胆道癌に対するペプチドワクチンのフェーズⅡの治験である。第Ⅱ相試験を実施した後、企業の方でフェーズⅢを行う形で計画している。これについては、多施設共同の医師主導治験を目指している。

3つ目は、過活動膀胱を有する前立腺肥大症に対するシドロシンの有効性の検討だ。これまで前立腺肥大症の患者の過活動膀胱の保険適用はなかったが、最近試験を通った。シドロシンを1日2回合計8mgの投与するというのが現在の標準的な治療法だが、副作用が大きく出る。そこで、1回4mg投与でも効果があり、安全性が優れていることを証明するため、各150例、合計300例の比較試験を計画している。

また、これらとは別に、橋渡し研究支援推進プログラムも採択いただいている。代表的なものとしては、1つはセンダイウイルスベクターを使った虚血肢治療に関するものだ。センダイウイルスベクターにFGFを入れ、これを局所に注射するもので、ファーストインヒューマンの段階ではあるが、改善が見られた。今年治験届けを出し、フェーズⅡbという形で臨床試験を実施したい。

さらに1つは、同じく虚血肢を対象とするもので、ナノテクノロジーによるドラッグデリバリーシステムを基盤とした、スタチンによる治療的血管新生療法だ。これについては、2012年春に治験届けが受理され、安全性が治験レベルで検証されたら企業にという流れを考えている。

ブリリアントブルーGによる内境界膜染色・剥離術については、臨床研究中核病院のプロジェクトか、橋渡し研究支援推進プログラムで行うかは検討中である。眼の手術では、内境界膜を剥離する非常に繊細な工程で、かつてはICG(インドシアニン・グリーン)が使われていたが、毒性があるという問題が生じた。そこで、九州大学でスクリーニングをしたところ、ブリリアントブルーGが染色性も優れていて、なおかつ安全性が高いことがわかった。これについては製剤化を果たしており、欧州全土で販売されている。九州大学発のベンチャーで欧州の仕事が取れたということで、今後、多施設共同研究フェーズⅢという形で進めていきたい。

(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 内藤悦子 
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

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