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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
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「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第14回

2014.01.07 取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の14回目は、メイントラックで行われた各大学の取り組みから、名古屋大学医学部附属病院副病院長 名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学講座整形外科学教授の石黒直樹氏の講演をリポートする。
(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

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培養骨髄細胞移植を併用した骨延長術

名古屋大学医学部附属病院副病院長 名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学講座整形外科学教授 石黒直樹 氏
名古屋大学医学部附属病院副病院長 名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学講座整形外科学教授 石黒 直樹 氏

整形外科では、足の悪い人、手足の非常に短い人、病気等で片方の足だけ短くなってしまった人など、これらのケースの患者に対し、骨延長術という方法を用いる。骨を延ばすことは、これまでも行われてきた原始的な再生医療である。患者の治る力に頼ることになるが、非常に有効な治療といえる。ただし、新生骨ができてくるまでは、医者はなすすべがなく、待っている状態である。医療として働きかけられないため、時として治療期間の長期化、あるいは手術部位の感染といった合併症につながることがあった。

このような問題を克服するために、電気的な刺激や薬剤といった方法があったが、我々は「細胞治療」を選択した。具体的には、骨髄の細胞を取り出し、これを骨芽細胞に分化させ、PRP(多血小板血漿)を足してゲル化させる。これを、骨を作りたい場所に打ちこむことで、骨形成を促進させることができる。こうした実績からも、骨形成が順調に進むことがわかり、患者による治療期間のばらつきを抑えられるようになった。均一な医療を提供できることが、1番の強みである。

このような条件で、2002年に院内の倫理委員会の承認を得て2例を行い、安全性を確認後、2003年から本格的に参入した。2009年に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に通り、2011年に「高度医療評価会議」で承認を受けることができた。

ただし、問題点がないわけではない。例えば、大腿骨と下腿骨では骨の位置が異なる。大腿骨は軟部組織に覆われているため骨の出来はいいが、逆に下腿骨はどうしても時間がかかる。このような点をどう解決し、効率を向上していくか。我々は培養細胞にこだわった。

この解決のために用いたのは、ドラッグ・リポジショニングである。既存薬の裏側を追求するという方法だ。オフラベル効能としての骨形成促進効果を有する既存薬があることを突き止め、現在特許を申請中である。特徴として、ヒト骨髄幹細胞において、骨形成に促進的に働くことがわかっている。すでに既存薬として使用実績は十分にあるため、適応を変えての臨床使用は可能だと考えている。この薬剤を使うことで、骨髄細胞からより多く骨芽細胞を作り出せるのではないか。

脚延長、骨折、義関節等、整形医学で難渋している疾患に、広く用いることができるようになるよう期待している。

(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

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