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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える異業種とのコラボレーションで、
互いの強みを生かした啓発活動に取り組む

異業種とのコラボレーションで、
互いの強みを生かした啓発活動に取り組む

2013.11.19 参天製薬取締役 専務執行役員
日本事業・人材開発管掌 兼 医薬事業部長 古門貞利 氏
古門貞利 氏
参天製薬取締役 専務執行役員
日本事業・人材開発管掌 兼 医薬事業部長
古門貞利 氏

今や、あらゆる業界で見られるようになった異業種とのコラボレーション。成熟した市場において新商品開発や新たな需要を喚起する戦略として期待されている。イノベーションが求められる医療業界にとっても注目すべきことだが、異業種との交流が少ないことも障壁の1つとなっている。成功のカギは互いの強みを生かし、いかに相乗効果を生み出すかだ。

参天製薬はベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)の幼児向け通信教育講座「こどもちゃれんじ」と共同で、幼児とその家族を対象に、目の健康のための啓発活動に取り組んでいる。異業種のベネッセとのコラボレーションは、どのようにして生まれ、どのような成果があったのか、参天製薬取締役専務執行役員の古門貞利氏にお話を伺った。
(聞き手:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也
構成:21世紀医療フォーラム取材班 阿部路子)

通信教育事業大手のネットワークと
目のスペシャリティ・ファーマとの融合

まず、ベネッセとコラボレーションすることになった経緯をお聞かせください。

古門 社内で患者さんの目の健康のために何ができるかという議論がスタートし、ベネッセと初めて情報交換したのは2010年頃でした。どのような目標に向かって事業活動を行っているかを紹介し合い、時間をかけて両社の理念や方針を理解しながら企画検討してきました。

子どもの視力は6~7歳頃までに成人の視力と同じになります。それまでの過ごし方が目の健康にとって重要ですが、子どもを取り巻く環境は昔と大きく変わっています。幼いときから、テレビやゲーム、スマートフォン、パソコンに触れる機会が増え、大切な時期に目を酷使しています。長時間ディスプレイ画面を見続けることでドライアイになる危険が高まるため、早い段階からの啓発が必要だと思っています。

一方、ベネッセ「こどもちゃれんじ」会員の保護者に向けたアンケート調査では、デジタル機器のメリットを感じると同時に、8割以上の方から子どもの目に与える影響を心配する声が上がっていました。また、保護者や家族について、自分の目はおろそかになりがちで、自分たちの目の不具合に対して十分なケアができていないこともわかりました。そこで、子どもとその家族双方が目を大切にするという意識を持ち、目の健康の守るための生活習慣を身につけることが必要だと考えました。

ベネッセとの具体的な活動内容について教えてください。

古門 主な内容は、次の3点に関する情報提供です。

1. 目を守るための幼児の生活習慣、デジタル機器との上手な付き合い方
2. 幼児(3~4歳)での弱視の早期発見
3. 家族の方へのドライアイの情報提供と目のケア方法

これらを伝えていくために、「こどもちゃれんじ」の会員約70万人に今年6月「アイケアキット」(小冊子・ポスター)を配布しました。小冊子は子どもの年齢別に3種類作成し、1冊の中で子ども向けと保護者向けに内容を分けて掲載しています。約束が守れたらシールを貼るポスターや視力ポスターも同封しています。

医師の監修のもと、子ども向けの部分には「こどもちゃれんじ」の人気キャラクターしまじろうが登場して、目を守るための行動を絵本でわかりやすく解説しています。保護者向けの部分は、目の健康維持のための正しい知識を身に付けてもらうとともに、ドライアイ検査の体験レポートなども紹介しています。

また、9月には、歌に合わせた目の体操「めすっきりたいそう」を「こどもちゃれんじ」の映像教材DVDの特典映像として配布しました。

先立って4月には、ベネッセを通じて全国の幼稚園・保育園約1万8000園に、幼稚園・保育園向けの小冊子「子どもの目 見守りサポートブック」が配布されました。弊社でも、今回の活動に合わせて全国の眼科約9000施設にしまじろうが印刷されたポスターとリーフレットを配布することで、意識を高める活動を図りました。

幼児の目のケアについて提供する情報の中身は、どのようにして決めたのですか。

古門 今回のプロジェクトは2012年5月にスタートして、互いに何度も話し合いを重ねました。そのとき参考にしたのが、ベネッセのアンケート調査です。

それによると、1日1時間以上テレビを見ている子どもは約9割、DVDなどを1時間以上見ている子どもは約6割いました。さらに、パソコン、テレビゲーム・携帯ゲームなどを1日15分以上利用している子どもも2~3割いました。(※ベネッセ教育総合研究所「第4回幼児の生活アンケート」対象:0歳~6歳の子を持つ母親3522名より)

また、スマートフォンを持つ母親の4~6歳の子どもの約75%が、1週間に何らかの頻度でスマートフォンに接していました。デジタル機器について、「知識が豊かになる」とメリットを感じながらも、保護者の8割以上は「子どもの目への影響」を心配していました。(※同「乳幼児の親子のメディア活用調査」対象:0歳~6歳の子を持つ母親3234名より)

知識の習得などの学習面で、こうしたデジタル機器が担う役割がますます大きくなっていく中で、幼児とその家族には、目を守るための生活習慣を身につけ、デジタル機器との上手に付き合っていくことが必要です。

一方、「こどもちゃれんじ」会員の保護者を対象にした2011年の調査では、保護者自身がディスプレイ画面で作業する時間が、平日で平均3.2時間でした。ディスプレイ画面を長時間にわたって連続で見続けたり、コンタクトレンズを装用したりすることでドライアイになる危険性が高まります。

ドライアイを放置すると、強い痛みや視力低下、角膜損傷、結膜炎などにつながる恐れがあるため、目に違和感がある場合は早めに眼科を受診することが必要です。にもかかわらず、今年5月に実施した調査では、目に症状を感じた時の受診率は約2割でした。これは、子どもの受診率の半数以下です。

このような調査結果を踏まえて、啓発していく内容をまずは先に掲げた3点に決めました。監修をお願いした女性医師は「こどもちゃれんじ」会員に近い年齢のお子さんが2人いらっしゃいます。医師としてだけでなく、母親としての視点でもお話しいただけたことも良かったと思います。

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