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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える食べる順番、種類、スピード、調理法と “ちょこまか運動”でAGEをためない

食べる順番、種類、スピード、調理法と “ちょこまか運動”でAGEをためない

第2回(2回連載)

2013.11.05 構成:AGING SUMMIT取材班 但本結子
文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也
山岸昌一氏
久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学教授 山岸昌一氏
1963年生まれ。1989年金沢大学医学部卒業。1993年金沢大学大学院医学研究科博士過程修了。1996年金沢大学医学部講師。1999年4月ニューヨーク、アルバートアインシュタイン医科大学研究員。2000年11月久留米大学医学部内分泌代謝内科講師。2003年4月同大学医学部心臓・血管内科(循環器内科)講師。2008年10月より現職
受賞歴:American Heart Association (AHA) Basic Science Award(最優秀賞)、日本糖尿病学会リリー賞、Circulation Journal 2008 Best reviewer (第一位)、日本抗加齢医学会奨励賞、福岡臨床医学研究賞など
所属学会:日本循環器学会専門医、日本糖尿病学会専門医・評議員、日本高血圧学会専門医、日本メイラード学会役員、日本糖尿病性腎症研究会幹事、日本老年学会代議員、日本抗加齢医学会評議員、脳心血管抗加齢研究会評議員。現在、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業リーダー

糖尿病は現代の国民病と呼ばれ、患者とその予備軍を合わせると日本全国に2800万人いると推定されている。自覚症状がないことから放置されやすく、気づいたときには重症化しているケースも多い。また、糖尿病患者がふつうの人より動脈硬化や骨折、認知症などの病気にかかるリスクが高く、10~15年ほど寿命が短いことから糖尿病は「老化のモデル」と考えられている。

久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学教授の山岸昌一氏は、長年、糖尿病と循環器の専門医として、数多くの糖尿病患者の診療にあたる一方で、糖尿病の血管合併症の研究から老化物質「AGE」に着目してきた。このAGEの正体を解き明かし、体の中にためない生活習慣を紹介した著書『老けたくなければファーストフードを食べるな(PHP新書/2012年)』は、発刊以来大きな反響を呼んでいる。2回連載の2回は、老化の原因物質AGEとは何か、これをためない食生活や運動などは何かなどについて、山岸氏にお話を伺った。
(構成:AGING SUMMIT取材班 但本結子
文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

食べる順番、種類、スピード、調理法、
ちょこまか運動でAGEを減らす

山岸先生がこのAGEに着目された理由を教えてください。

山岸 私がAGEの研究を始めたのは、今から24~25年ほど前、1989年頃です。研究の中で掴んだのは、糖尿病に特有の腎症や網膜症の現象は他の病気では起こらないということでした。高血糖の状況で細胞を2~3日培養しても、必ずしも特徴的な細胞障害が再現されない。つまり、2~3日程度の糖の刺激では糖尿病の現象があまり再現できないのです。ところが、糖尿病になると確実に特徴的な現象が起こる。血糖値をスタートとしてたまってくる何かがあり、しかも糖尿病は老化のスピードが早いから、恐らく老化とも密接につながっている。この現象にフィットするものは、AGEしかありませんでした。

人間の体の中には約10万種類のタンパク質があります。そのうち最も量が多いのはコラーゲンで、皮膚の7割、骨の3割、血管も2割がコラーゲンです。このようなタンパク質の表面に糖がベタベタとくっつくと、本来のコラーゲンの機能が損なわれます。血管は固くなり、骨はチョークのように脆く折れやすくなり、肌は弾力が失われ、たるみやしわ、しみの原因になったりします。

つまり、私たちが食べるものにもAGEが入っているということですか。

山岸 はい。食事から摂るAGEの約7%は体内に消化吸収されるため、体内で作られるわけではありませんが、人間の体内のAGEは次の2つによって規定されます。  

1. 糖から体の中で作られる
2. AGEとして存在するものを口から食べる

上記の2にはタバコも該当します。タバコの中にAGEが入っているため、吸うことによってAGEが体内に入る。糖尿病患者とスモーカーの共通項は老け顔ですが、これは両方ともAGEで説明ができます。

それから、このタバコにも記憶があり、1日20本20年吸った人が今日から禁煙しても、全く吸わない人と比べて、1年後、がんの発生率が同じにまで下がるかというと、これは下がりません。20年吸ったら20年分のタバコのAGEは体内にたまっています。それを少なくするためには、吸った年数と同じだけの時間がかかります。実際、喫煙者は全く吸わない人よりがんのリスクは高くなっています。

口から摂るものの中で、AGEが多く含まれているものはわかっているのですか。

山岸 外から入るものとしては、先に述べたタバコとファーストフードに代表されるような食品です。高温で調理すると焦げ目が茶色になりますね。タバコも茶色いですが、あれは葉っぱを高温でカーリングして燃するからです。  

では、AGEがたまってしまった人はどうすればいいのでしょう。

山岸 救いはあります。AGEは自然経過で誰にでもたまってくるものです。40歳より50歳、50歳より60歳の方がたまります。例えば、今40歳でAGEは 50歳分だとする。ここで生活を悔いあらためれば、自分のAGEはそのままで、20年後、他の人は60歳のAGEがたまっている。AGEがたまる老化のスピードより、少し工夫してその傾きを下げれば、10年後、20年後、AGEが減ったグループに位置することはできるかもしれません。たまったAGEをゼロにして、40歳が20歳に若返ることは無理ですが、20年頑張れば60歳になったとき、同級生の中で一番若いといわれる可能性はあります。だから、ある程度たまってしまっても、生活を改善する価値はあると思います。

生活の改善はなかなか難しいことですが。

山岸 例えば、今日からベジタリアンになって、一切肉を食べるなとか酒を飲むなといわれたら、そんな人生は自分のフィロソフィーと合わないという人もいるでしょう。しかし、揚げ物の回数を3回から2回に減らす、低温で茹でた食材を食事の中に少しでも取り込む、食事は野菜から先に食べて食後の血糖値を上げない工夫をする。そういったことであれば、誰でも比較的簡単にできます。

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