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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第8回

2013.09.24 取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 萱原正嗣
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブプロデューサー 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の8回目は、メイントラックで行われた臨床研究中核病院からの報告として、かつて京都大学総長を務め、現在は公益財団法人先端医療振興財団理事長である井村裕夫氏の講演をリポートする。
(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 萱原正嗣 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブプロデューサー 阪田英也)

プログラムはこちら(PDF画像が開きます)

臨床中核病院への期待~特にトランスレーションの科学の推進をめぐって
臨床研究の「いま」と「これから」

井村裕夫氏
公益財団法人 先端医療振興財団理事長 京都大学元総長 井村裕夫氏

日本の医療は、基礎研究の充実度に比べ、臨床研究が立ち遅れている。世界の主要な医療ジャーナルでの日本の研究者の掲載論文数を見れば、それは一目瞭然だ。

基礎研究では世界で5本の指に入るが、臨床研究では長く10位を下回り、ここ10年はそれがさらに低下傾向にある。2012年に創立200周年を迎えた世界最古の医療雑誌『The New England Journal of Medicine』でも、2008~2012年にかけて、日本の論文貢献度は21位と低調だった。

臨床研究の中でも、疾患指向型研究(Disease-Oriented Research)と比較して、患者指向型研究(Patient-Oriented Research)で遅れが目立ち、人を対象とした研究を推進していくことが大きな課題だ。こうした課題を乗り越えていくにあたり、今、医学・医療が大きな転換期を迎えていることを把握しておかなければならない。

まず、基礎研究で、ゲノム医学が進展したことを受け、医療のシーズは確実に増えている。その豊富なシーズを、どのように臨床研究に活かしていくかがカギだ。急速に進む高齢化は、医療へのニーズを多様化させている。それに対し、臨床研究がどのように応えられるかを考える必要がある。

個人の遺伝的特徴に対応する「個の医学」や、発症前に診断して積極的に介入する「先制医療」への期待も高まっている。さらには、基礎研究の成果を、臨床研究を経て実際の医療に活かしていく「トランスレーション」そのものも、医学の大きなトピックとなっている。

その背景には、製薬企業による創薬の行き詰まりがある。研究開発にかかる費用と期間が膨らむ一方であるのに対し、新薬の承認は停滞傾向にある。その理由にはさまざまある。

開発手法そのものの陳腐化、動物モデルの限界、大学での多方面に渡る基礎研究の成果に対するキャッチアップの遅れ、企業と研究機関の連携の不足、規制当局による規制強化の傾向、トランスレーショナル・リサーチそのもの遅れなどだ。さらに、医療の個別化への流れは、巨額な売り上げを叩き出す「ブロックバスター」の開発に力を注いできた大手製薬企業にとって、大きなジレンマとなっている。こうした流れの中で、アカデミアによる臨床研究の推進に期待が集まっている。

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