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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第6回

2013.08.27 構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 萱原正嗣
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の6回目は、メイントラックで行われた臨床研究中核病院からの報告として、九州大学胸部疾患研究施設教授、九州大学病院ARO次世代医療センター長の中西洋一氏、京都大学医学部附属病院探索医療センター探索医療開発部教授の清水章氏の講演をリポートする。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 萱原正嗣
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也)

プログラムはこちら(PDF画像が開きます)

中西洋一氏

九州大学病院における臨床研究中核病院事業
九州大学胸部疾患研究施設教授 九州大学病院ARO次世代医療センター長
中西洋一氏

中西洋一氏
九州大学胸部疾患研究施設教授 九州大学病院ARO次世代医療センター長 中西洋一氏

名古屋大学に続き発表した九州大学では、「ARO(Academic Research Organization)次世代医療研究センター」が中心となり、臨床研究中核病院事業を進めており、特に、周辺の地域医療機関や大学の治験の支援と推進体制の構築に重点を置く方針だ。

九州大学の臨床研究中核病院事業では、臨床試験ネットワークの整備と支援、セントラルIRBの機能強化、GCPに準拠した高品質な治験の実施体制の整備に取り組む。中核病院としては、シーズの後期開発、臨床試験実施基盤強化に注力する。また、各医療機関が有する希少疾患などに関する集積能力を活用し、その上で新しいエビデンスを構築し、社会に対する最適医療を提供することを目指す。加えて、臨床研究や治験の意義についての啓発活動も行う。

これらを実施する上で、重要になるのが進捗管理だ。大学は、個々の研究者の能力に依存しがちだが、全体像を把握しながら事業を推進する必要がある。そこで、プロジェクト管理能力を強化するため、プロジェクト管理ユニットを設立する。また、推進役としてネットワーク調整室、目付役として安全性情報管理室を設け、安全かつ上質な臨床試験を迅速に進める体制を整える。

プロジェクト管理ユニットでは、支援治験の選定、デューデリジェンスの実施、進捗管理、登録状況モニタリングを行う。ネットワーク調整室は、グループ内ネットワークの調整、グループ間の連携支援、研究の推進などを担当する。安全性情報管理室は、安全性情報の集約、周知、共有、各効果安全性評価委員会との連携、中止勧告などを担当する。

このほか、学内外の臨床試験支援人材および研究者の教育を進めるための教育研修室、報告書作成などを行うメディカルライティングユニット、受託業務内容を調整する業務提携室を新設した。また、臨床試験の開始後には、モニタリングと監査機能も設置する予定だ。セントラルIRDは、NPO治験ネットワーク福岡内に設けられており、その強化により対応する。

安全性情報の適正管理は非常に困難だが、重要な要素であるため、AROの中に設置した。多設共同研究においては、施設ごとに責任者がおり、また、その集合体としてのプロジェクトにも事務局があり、推進体制が複雑であることから、安全性情報の共有化を進めるために、情報管理部門を一本化することにした。

品質管理は、ICH-GCP準拠することが前提だが、その基盤は脆弱で、多方面の整備が欠かせない。特に学外施設においてもIH-GCPに準拠した体制を整えられるよう、AROで支援、指導を進めていく。私たちの組織は、基礎研究や後期臨床試験の指定を受けているほか、多方面にさまざまなネットワークも持っている。こうしたネットワークと連携し、全ての業務をAROで管理しながら、学内から学外ネットワークへと支援や臨床試験の適正な推進体制を構築していく。

尚、これら一連の業務を限られた人材で行うのは容易ではないが、将来的には、財源の確保により、これを実現したいと考える。橋渡し研究と臨床研究は車の両輪であり、シームレスな支援が欠かせない。ファーストインヒューマンに当たるまでを橋渡し研究として支援し、その後、円滑に後期臨床試験から申請、製造・販売での新たな最適医療の開発までを支援する。

長期的に見れば、研究成果と研究費の円滑な循環が研究を推進すると考えられ、九州大学のみならず九州、西日本地区のシーズを元に、シーズ開発、臨床から臨床開発、ライセンスアウトに至るまでの一連の流れを円滑に進めることが重要だ。5年間にこのサイクルを円滑に回し、同時に外部資金を導入して次の研究に生かせるような体制整備を目指し、周到な議論を重ねていきたい。

(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子)

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