• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「ヒト生命情報統合研究~国民の健康の礎となる大規模ゲノムコホート研究~」開催

日本学術会議公開シンポジウム

「ヒト生命情報統合研究~国民の健康の礎となる大規模ゲノムコホート研究~」開催

第5回(6回連載)

2013.06.18 構成:21世紀医療フォーラム取材班 豊原富栄
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

1月23日、東京・日本学術会議講堂にて、公開シンポジウム「ヒト生命情報統合研究~国民の健康の礎となる大規模ゲノムコホート研究~」が開催された。

今回のシンポジウムは、日本学術会議が2012年8月に公表した提言「ヒト生命情報統合研究の拠点構築―国民の健康の礎となる大規模コホート研究」を受けて、国民の健康・医療に大きな恩恵をもたらす、あるべき大規模ゲノムコホート研究の姿について、産学関係者を中心に、研究の現状や問題点、将来性についての議論がなされたものである。

第5回は、第一三共研究開発本部の横田博氏の講演をお届けする。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 豊原富栄 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也)

開催概要

日時:2013年1月23日(水)10:30~17:30
場所:日本学術会議講堂

プログラムはこちら(画像が開きます)

大規模ゲノムコホート研究への期待

横田博 氏
第一三共研究開発本部 横田博 氏

第一三共研究開発本部の横田博氏は、「大規模ゲノムコホート研究への期待」と題した発表を行った。講演の冒頭、横田氏は、「日本では新薬が出ないとの指摘がある。しかし、医薬品の世界売上上位100品目を見ると、米英に続いて日本は第3位となっている。また、製薬産業が法人税などで国に支払う税は、他産業と比較しても安定して高く貢献していると言える。加えて、健康で安心できる社会の実現や製薬に伴う技術発展、生産性などの社会貢献に寄与することで、経済成長に役立っている」と製薬産業の現状と社会的貢献について述べた。

次に、2012年以降の重要課題となっている個別化医療への取り組みについて、横田氏は「現状の創薬における標的の発見は、疾患群とそうでない群との比較、つまり疾患コホートに重点が置かれている」と、創薬における現状を説明した。「創薬の標的を明らかにする上で、ゲノム情報を軸としたバイオマーカー情報や環境因子といったデータの収集および解析からアプローチする手法は必ずしも十分に進んでいるとは言えない」と問題点を指摘した。

大規模ゲノムコホートに対し、創薬の現場ではどのような見方を持っているのか。「大規模ゲノムコホートは健常な人を追跡調査するというコホート研究にゲノムを組み入れたものだ。疾患コホートが疾患をターゲットにしているのに対し、大規模ゲノムコホートは全方位をターゲットとしており、基本的なコンセプトが異なる。創薬では、これまでは症状を対象にしてきたが、ゲノムコホートで得られる遺伝素因や環境・生活習慣などのデータは、今後の創薬において新たなアプローチの方法として期待できる」との見解を示した。

横田博 氏

また、大規模ゲノムコホートを行う上での環境についても、「日本では、医療のITC化や学童への健診など、大規模ゲノムコホートを実施するための土壌は揃っている」と述べた。

一方、集められたデータをどのようにヒトの健康に役立てるかについて、「ゲノムコホートは長期間の追跡調査を必要とするため、次の世代にわたる研究だ。また、そこからはさまざまな成果も出てくるだろう。だが、データを基に、その成果を獲得するには20~30年という長い時間がかかることを認識しなければならない。だからこそ、国家プロジェクトとして推進する必要がある。そのためにも、明確なルール作りや規格化に向けた準備が必要だ。また、解析システムなど、新しい技術の開発も必要になる」と新たな課題を示した。

最後に、「大規模ゲノムコホートは、なぜ病気が発生するかという命題に対する答えである。製薬企業から見れば、これまでとは別の視点からの標的発見や新たな治療法の提案につながる可能性があり、今後も健康医学の発展に協力していく」と結んだ。

医療を変える