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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「脳の健康を考える~認知症・うつ病のいま」

「脳の健康を考える~認知症・うつ病のいま」

~うつ病・認知症コンソーシアム第2回シンポジウム開催報告~

2013.05.21 取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 萱原正嗣
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブプロデューサー 阪田英也

2012年12月9日(日)、東京都千代田区のイイノホールにて、「脳の健康を考える~認知症・うつ病のいま」と題して、「うつ病・認知症コンソーシアム」の第2回シンポジウムが開催された。
今回は、研究者講演とパネルディスカッションについて、リポートする。
(取材・構成:21世紀医療フォーラム取材班 萱原正嗣 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブプロデューサー 阪田英也)

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うつ病・認知症コンソーシアム

予測を越えて増え続ける認知症患者

朝田隆 氏
筑波大学医学医療系臨床医学域 精神医学教授 朝田隆 氏

研究者講演の最初に登壇した筑波大学医学医療系臨床医学域 精神医学教授の朝田隆氏は、「臨床研究の視点から」と題した講演を行った。講演の冒頭、朝田氏は認知症患者の現状について触れた。20年前の厚生省(現・厚生労働省)の予測によれば、認知症の患者数は2012年時点で240~250万人、2020年には300万人弱と達すると見込まれていたが、直近の介護保険の利用データからは、既に少なくとも300万を超える人が認知症を発症している。現実が予測をはるかに先んじていることに、朝田氏は危機感をあらわにした。

また、認知症の発症率は、85歳以上の高齢者で4人に1人程度と従来は考えられていたが、2008年に国が実施した「認知症研究プロジェクト」の調査では、有病率は40%以上であることも判明した。85歳未満の年齢階層においても有病率は従来の想定を上回っており、この結果から日本全国の認知症患者数を推計すると、400万人を超えるという。

がんと糖尿病の患者を合わせても400万人に満たないことと比べると、認知症患者の数の多さは際立っていると指摘した。加えて朝田氏は、MCIと呼ばれる軽度の認知症状が、調査対象の15%強に見られることにも注目した。MCIの診断された人のおよそ半数が、いずれは認知症を発症する。こうした状況を踏まえて、同氏は予防や症状緩和の必要性を強調した。その背景には、認知症の根本治療薬が、まだ開発の目処が経っていないという現実がある。ここ10年来進められてきた大型治験も、ことごとく失敗に終わっているという。こうした状況を打破するために、主にアルツハイマー病の標準的な診断・治療体系を確立することを目指し、米国・欧州・オーストラリアと日本の研究チームが一体となり、「ADNI」という研究ネットワークが運営されている。

日本も、このADNIと連携しながら、大学や高度医療機関が参画する「J-ADNI」と呼ばれるオールジャパンの体制を組んで研究を推進している。究極的には根本治療薬の開発を目指しながら、認知症が20~30年という長い時間をかけて進行する病気であることを踏まえ、初期段階での危険因子の特定や予防介入の方法の研究に力が入れられている。認知症の予防研究が、治療薬開発と合わせて、医療界の喫緊の課題であることを改めて指摘し、朝田氏は講演を結んだ。

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