• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」開催

第2回

2013.04.02 構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

去る2013年2月9日(土)、宝ケ池の国立京都国際会館において、「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」が開催された。臨床研究中核病院としては初の試みであり、この事業を広く市民、患者団体、関連病院、業界などに普及・啓発することを目的としている。

開催報告の2回目は、メイントラックで行われた基調講演から「GCPは、臨床研究を発展させるか、それとも障害となるか:欧州の場合」と題したPierre Lafolie氏の講演について、お届けする。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也)

プログラムはこちら(PDF画像が開きます)

Pierre Lafolie氏

GCPは、臨床研究を発展させるか、それとも障害となるか:欧州の場合
Associate professor Clinical Pharmacology - Solna,L2:03 Dep of Medicine, Karolinska Institutet
Pierre Lafolie氏

Pierre Lafolie氏
Pierre Lafolie氏

GCPは、臨床研究において、治験参加者を保護し、臨床研究データの有効性を担保すると共に、臨床研究の計画から実施、フォローまでを管理するために設けられた制度で、書面での証明を可能にするため、モニタリングや監査などの実施を義務付けている。

欧州では、GCP指令が出されたことにより、治験実施計画書の書き方やモニタリングの実施方法など新たな基準が多数設けられたほか、治験担当医の雇用者である大学や病院が治験依頼者として法的な責任を負うようになった。しかし、大学や病院の研究者には、製薬業界のような臨床試験を支援する仕組みがなかったため、GCPに対応した臨床試験を行うための支援体制が求められた。

そこで、2004年、欧州委員会の支援の下、欧州で臨床試験を行う医師を支援するためのECRIN(European Clinical Research Infrastructure Network:欧州臨床試験基盤ネットワーク)が立ち上げられ、各国でもインフラの整備が進んだ。だが、個人情報の扱い、組織サンプルの保管や幹細胞の研究方法など、国ごとの対応が必要な要素も多いため、各国版のGCPが不可欠となった。そのため、こうした基準のばらつきに対応すべく、臨床医や研究チームに対する教育研修、臨床試験ユニットやGCPセンターなどのインフラの整備、国内外の拠点を繋ぐネットワークの構築などが必要になった。

ちなみにGCP指令が出されてから欧州での臨床試験の申請件数は減少し、2007年に5028件だったところ、2011年には3490件となっている。

次に、具体的な支援組織の事例を紹介する。まず、国単位の支援組織としては、ドイツのKKSがある。ドイツ国内に16カ所設けられたセンターは、臨床試験センターと臨床試験のコーディネーションセンターに分けられ、コーディネーションセンターでは臨床試験センターに対し、コンサルティング、設計、プロジェクト管理などの支援を行っている。センターの運営費用は、国と州政府、施設がそれぞれ3分の1ずつ負担している。

リサーチセンターの例としては、アイスランドのレイキャビクの大学病院がある。ここでは、バイオメディカルリサーチセンター、疫学センター、介入研究センターの3つを統合し、がん、心血管、肺など、6つの臨床部門を組み入れた組織を設けている。組織横断的な取り組みにすることで、資源配分を巡る部門間の競争の防止に繋がっている。

最後に、支援内容の具体例として、カロリンスカ臨床試験アライアンス(KTA)の取り組みを紹介する。KTAは、臨床医や研究開発企業の支援を行うほか、ケア提供者間のネットワークや患者・研究者・企業間のネットワークの構築を支援している。臨床研究に伴う煩雑な手続きを省くため、契約交渉や教育、情報提供、医療機器や医薬品の提供などの面で、専門家による支援体制を整えている。

KTAは官民のパートナーシップで運営され、治験に関する総合的な窓口として、企業と研究者の仲介をすると共に、科学的な助言や疾患に関する患者データの提供、移行研究用のユニットの提供などを行う。また、GCP順守状況の確認や研究の設計、各種書類の作成、実施責任者やチームの教育から資金調達、保険手続きなども行っている。さらに、コスト計算やデータ管理のソフトも導入し、臨床試験の経済性を確保し、アーカイブスなども整備している。

このKTAの導入により、さまざまな効果が得られた。地域間の分担や協力が進み、参加に消極的だった病院が前向きになっただけではなく、経理面も透明性が高まった結果、スポンサーが付きやすくなった。加えて、広報活動により、一般から患者団体まで、社会における認知度も高まった。さらに、医薬品開発だけでなく、医療技術や診断技術などの研究も行われるようになっている。

医療を変える