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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える社会保障と税の一体改革をふまえた医薬品産業の展望

「IMS ジャパン ヘルスケア・サミット 2012」開催

社会保障と税の一体改革をふまえた医薬品産業の展望

第2回(3回連載)

2013.02.05 取材:21世紀医療フォーラム取材班
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

2009年より3回にわたって行われてきた「IMSジャパン ヘルスケア・シンポジウム」は、医療関係者と共に医療改革の動向を探り、それを踏まえて日本の医薬品産業が進むべき道を探ってきた。
4年目を迎えた2012年は、名称を「IMSジャパン ヘルスケア・サミット2012」と改め、「社会保障と税の一体改革をふまえた医薬品産業の展望」をテーマに、2012年11月29日、ホテルオークラ東京にて開催した。

3回連載の2回目は、日本医師会会長の横倉義武氏、エーザイ株式会社代表執行役社長(CEO)の内藤晴夫氏、東邦ホールディングス株式会社代表取締役会長の松谷高顕氏の講演をお届けする。
(取材:21世紀医療フォーラム取材班 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也)

開催概要

■開催日 2012年11月29日(木)
■場所  ホテルオークラ東京

■ゲストスピーカー(講演順)
仙谷由人 氏 民主党副代表
尾辻秀久 氏 参議院副議長
横倉義武 氏 日本医師会会長
内藤晴夫 氏 エーザイ株式会社代表執行役社長(CEO)
松谷高顕 氏 東邦ホールディングス株式会社代表取締役会長

■ファシリテーター
渡辺俊介 氏 東京女子医科大学教授
(※講演者の肩書きは、サミットが開催された11月時点のものである。)

プレゼンテーション3
製薬メーカーと連携し、日本医師会は国民と共に歩む専門家集団を目指す
日本医師会 会長 横倉義武 氏

横倉義武 氏
日本医師会 会長 横倉義武 氏
'69年、久留米大学医学部卒業後、同大医学部外科、西ドイツ・デトモルド病院外科に勤務。久留米大学医学部講師を経て、'90年より医療法人弘恵会ヨコクラ病院院長。'06年、福岡県医師会会長、'12年、第19代日本医師会会長に就任。世界医師会メンバー
国民皆保険制度がもたらした長寿と社会の安定

我々の願いは、国民が必要とするときに、等しく医療を受けられる国民医療の堅持と、国民皆保険の維持。この2点に尽きる。世界に冠たる国民皆保険体制は1961年に制定され、保険証を持っていれば、その場で医療が受けられ、フリーアクセスも担保されている。このように優れた制度であれば確かにお金がかかる。しかし医療費の国際比較を見れば、日本は先進国の中でもローコストで医療を賄っていることがわかる。国際的な評価も高く、平均寿命から医療事故による死亡率まで、ほぼAランクである。また、国民皆保険の導入以後、急速に平均寿命が延び、同時に経済成長も伸びた。保険で医療が受けられる制度が完備されたために、経済成長に繋がったともいえる。

民間医療保険と公的医療保険の企業による負担率は異なる。例えば、日米の自動車会社の負担額を比較すると桁が違う。日本の低い負担率によって、自動車会社は研究開発に予算を注ぎ込むことができ、米国の自動車産業を凌駕することに繋がった。健康を守るための制度が、いかに社会に安定をもたらすかが実証された例といえる。

強い外交交渉力を持って明確に決断する政治を

社会保障と税の一体改革の法案が通り、増税分を全て社会保障に回すと明記したことに一定の評価はしつつも、政府に対しては控除対象外消費税の解消もお願いしたい。また、 TPPについても、中央社会保障医療協議会での薬価決定プロセスへの干渉、私的医療保険の拡大による公的医療保険の範囲の縮小、株式会社の医療本体への参入に懸念がある。その中で、最も大きな問題は混合診療の拡大である。拡大した結果、公的医療給付が行われないことは避けなければならない。混合診療を全面解禁すれば、お金のない人は受けられない医療が増える。すでに評価療養として了解された先端医療については、公的医療保険と併用する形で行われている。いわゆる選定療養もここに入っているが、無制限な混合診療の解禁だけは避けたい。

最後に、製薬メーカーの方々にお願いしたい。医薬品の輸出入を見ると、医薬品の輸入額が伸びており、特に最近は算定価格 10万円以上の新医薬品の多くが輸入である。この数字を逆にしていただくべく、国内製薬メーカーの皆さんの健闘を望んでいる。新薬の開発や製薬企業の成長は、我々医療者にとっても大きなプラスである。国民と共に歩む専門家集団を目指す日本医師会は、医療産業とも連携して国民の健康に尽くしていきたい。

医療を変える