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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページトップインタビュー“いかに病人を減らしたか”が評価され、そこにバリューを与える医療制度にシフトすべき

“いかに病人を減らしたか”が評価され、そこにバリューを与える医療制度にシフトすべき

第2回(2回連載)

2011.08.22 科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー 山本雄士氏
科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー 山本雄士氏

今春、21世紀医療フォーラムの新たな代表世話人に就任された山本雄士氏は、医師として日本で6年間勤務した後に渡米し、ハーバード大学でMBA(経営学修士)を習得。帰国後は、日本の「ヘルスケア改革」の担い手を目指し、科学技術振興機構(JST)を中心とした活動を展開されている。その山本氏に、医師でありながらMBAを目指した経緯や、現在、日本が抱える医療問題、そして必要な医療改革の方向性などをテーマにインタビューを実施させていただいた。
2回連載の第2回は、「病気になってから治療する」「病人になってから医療が始まる」といった現在の日本の医療制度から、“いかに病人を減らしたか”が評価され、そこにバリューを与える医療制度への転換、山本氏の描くあるべき医療の未来図、そして、東日本大震災復興支援のための医療体制再構築の必要性などについて伺った。
(聞き手:日経BP社BPnetプロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 桶谷仁志)

“いかに将来の病人を減らしたか”が、
評価される医療制度に

山本さんはマイケル・E・ポーターの『医療戦略の本質―価値を向上させる競争(日経BP社)』という本も翻訳されていて、社会保障や医療経済に関しても卓越した知識をお持ちです。日本の国民皆保険制度と将来の高齢化社会については、どのようなご意見をお持ちですか。

山本 国民皆保険は医療に必須の制度だと思っています。ただ同じ皆保険でも、時代と共に進化させていかなければやっていけなくなるのも確かです。では、進化した皆保険とは何か、と考えるときに、お金の勘定ばかりに目が行くと医療の新たな価値を見落としてしまいます。医療も進化しているのです。現状のままの制度で、あるいは一部だけ手直しした制度を前提にして考えると、今の時代どう考えても財源が足りなくなるに決まっている。

それにも関わらず、「消費税を上げましょう、それで補填しましょう」といった意見ばかりが出てきます。変遷していく医療の中身や役割、社会構造を考えながら、お金の計算もしていくのでなければ全く意味がありません。皆保険ができた時代からみたら、医療の役割自体が変わっていることをはっきり認識して、医療のあり方そのものを考え、変えていかなければなりません。

日本の国民皆保険ができたのは1961年ですが、そのときの日本人男性の平均寿命は65歳だった。一方、最近の平均寿命は79歳くらい。15年近くも寿命が延びて、その中で、糖尿病などの慢性疾患に関わる医療費がどんどん大きくなっています。しかし、そうした慢性疾患の管理のための技術も進化しています。それなのに、例えば糖尿病になっても、まともに病院に通って血糖値をコントロールしている人は、患者さんの6人に1人しかいないとされています。

だから患者さんは重症化し、結果的に人工透析が必要になったりする。いま人工透析の費用は総額年間1.5兆円もかかっています。これは、どう考えても異常ですね。人工透析になるのを防ぐには糖尿病をコントロールすることが大切で、このためには血糖降下剤やインスリンという確立された手段があるのに、それをきちんと使えていない。これは人工透析などの合併症を防ぐところにインセンティブが働かない医療制度であることも、問題の1つなのです。

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