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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページトップインタビュー最大の収穫は、“自分がいかにものを知らないか”を理解 日本の医療者は、他のプロフェッショナルをリスペクトすべき

医師としてハーバード・ビジネススクールのMBAを取得

最大の収穫は、“自分がいかにものを知らないか”を理解 日本の医療者は、他のプロフェッショナルをリスペクトすべき

第1回(2回連載)

2011.08.17 科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー 山本雄士氏
科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー 山本雄士氏

今春、21世紀医療フォーラムの新たな代表世話人に就任された山本雄士氏は、医師として日本で6年間勤務した後に渡米し、ハーバード大学でMBA(経営学修士)を習得。帰国後は、日本の「ヘルスケア改革」の担い手を目指し、科学技術振興機構(JST)を中心とした活動を展開されている。その山本氏に、医師でありながらMBAを目指した経緯や、現在、日本が抱える医療問題、そして必要な医療改革の方向性などをテーマにインタビューをさせていただいた。
2回連載の第1回は、山本氏が研修医時代に感じた“病院のあり方”への疑問、医師でありながらマネジメントを学びにハーバード・ビジネススクールの門を叩いた理由、さらに、帰国後の現在の仕事、目指されている「ヘルスケアへの転換」「医療におけるラグの解消」へのロードマップなどについて伺った。
(聞き手:日経BP社BPnetプロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 桶谷仁志)

研修医時代に病院で感じた疑問。
「医療のマネジメントに関心があるなら、ビジネススクールに行け」

山本さんは、ハーバード大学でMBAを取得されており、日本人医師としては稀有な経歴をお持ちです。大学卒業後、臨床から離れたきっかけからお聞かせください。

山本 私は東大の医学部を卒業して、2年間内科の研修医として勤務しました。東大病院に半年、白金の東京大学医科学研究所に半年、2年目の1年間は世田谷の関東中央病院で研修しました。当時は“良い医師になりたい”と思ってひたすら勉強していただけで、MBAのことは全く考えてもみませんでした。

当時は、研修の2年目が終わる頃までには専門科や医局を決め、大学病院など医局に戻るのが主なキャリアパスでしたが、私は全く別の選択をしました。自分の中で思い描く「良い医師」になるためには内科の経験だけでは心許なかったので、もっといろいろな臨床科の経験を積もうと思ったのです。考えてみると、今でいう“スーパーローテーション”を、自分1人で試みようとしていたわけですね。それでいろいろ探してみたところ、都立病院には自分で好きな診療科を選んで研修できるプログラムがありました。そこで東大の医局には入らず、都立病院の面接を受けにいきました。

その選択自体が、すでにミニ・ドロップアウトだったのでは。

山本 都立病院の採用面接では、「君は東大にいられなくなったのか?」と真顔で聞かれましたから、周りからは変わったやつだと思われていたのかも知れませんね。慌てて、東大の教授から推薦状をもらってきて、都立病院に採用してもらいました。

都立病院で、いわば後期研修を体験されたわけですね。期間は1年間くらいですか。

山本 2年間研修しました。都立病院は、好きな病院の好きな診療科に行けるので、駒込、墨東、広尾病院と回り、放射線科や麻酔科に行ったり、感染症を勉強したりもしました。島嶼医療のために伊豆諸島にも行きましたし、ドクターヘリの経験もしました。

都立墨東病院では救急部に所属して、脳外科の「マイクロサージェリー」なども経験しました。その後、一番長くいたのが都立広尾病院の循環器内科です。4年目の研修が終わる頃に、東大の循環器内科から「帰って来ないか」と誘われたので、「循環器内科ならば自分の経験も生かせる」と思って東大に帰り、大学院に入りました。

大学院に戻るまで「不整脈」の臨床を主にしていたのですが、循環器内科の医局に入ったタイミングで大学の先生方が異動され、私も不整脈チームの主力メンバーになってしまいました。広尾などの病院で検査や手術、麻酔などの経験を豊富にさせていただいたことが、東大でもずいぶん役に立ちました。おかげで「埋込型除細動器」の東大病院一例目も、私が担当させていただきました。

つまり東大の循環器内科では、かなり臨床を中心にやっておられたわけですね。それがなぜ医師としての登竜門を外れて、MBAを目指されたのでしょう。

山本 私は大学卒業後の6年間で、7つほどの病院で臨床に従事しました。その結果として思ったのは、どこの病院も、“おのおの独自のスタイルの診療方法を採用”していて、“ベストプラクティスが病院間で共有されていない”ということでした。EBM(Evidence-Based-Medicine)という言葉のもとに、「こうすべきだ」「ああすべきだ」と議論している割には、現場の業務でのこのばらつきは何だろうと疑問に思いました。

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