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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト

その人らしく、“長く健やかに”暮らす。 墨田の地に託した思い (2/2)

坂井ユカコ氏 インタビュー

2011.03.25 聞き手:日経BP社BPnet編集プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 白川昌彦

「リビング・イン・プレイス」が可能な街づくりを

高齢者の“溜り場”という発想はいいですね。ただ、高齢者がそのように健康に暮らしていても、どうしても病気がちになります。

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坂井 そうなんです。墨田区では在宅で介護サービスを受けながら、老健施設などへの入所を待つ人が800人いるといわれています。しかし、病気になっても病院で寝たきりのまま人生を終えるのではなく、住み慣れた地域にある施設や自宅で医療・介護を受け、終末期でも家族や地域の人たちに見守られながら、尊厳を持って最期を迎えられる。こうした「リビング・イン・プレイス(“住み慣れた土地で暮らし、一生を終える”の意)」が、その方にも、町にとっても重要だと思います。昔は、かかりつけの先生がいて家で看取ってくれましたが、そういう仕組みが今はなくなってしまいました。

「ビル診」、つまり、ビルにある診療所ですが、救急は受けつけない。往診・夜間はやらない。こういうことで、地域の医療リーダーであった開業医が地域住民と離れてしまった。ビル診ではない地元の開業医も“ビル診化”しているといわれますね。

坂井 そのような時代の流れの中で、どうしても患者さんは、大きな病院に集中してしまいます。この点からは、「開業医と地域中核病院の役割」、「地域医療のあり方」を検討しなければいけないと思っています。「在宅療養支援診療」や「在宅末期総合診療」を24時間体制で行う病院を増やす。かかりつけ医をグループ化することで、往診を可能にする。
病院、かかりつけ医、それぞれの役割を明確にして連携することなどが墨田区にとっても大きな課題です。

医療制度だけではなくて、高齢化社会を今後支えていくためには、日本人の心の問題も大きいと思います。かつては、常識レベルであった“思いやり”や“心遣い”が、だんだんと廃れてきているように思いますが。

坂井 その理由のひとつには、高度成長期から進んだ「核家族化」があると思います。高度成長期以前の日本は、「三世代同居」が普通でした。両親が働く、祖父母が孫の面倒をみる、家族が増えると喜び、大家族を歓迎していた。このような三世代同居では、やがて、介護をする、亡くなる人を看取るということも暮らしの中で体験します。そういう中でこそ、“思いやり”や“心遣い”が育まれるのではないでしょうか。こういう三世代住宅の建設、リフォームなら大歓迎です。これらを助成する制度を必ず整備したいと思います。

そして、「生きることは素晴らしい」、「命はとても尊い」、「生と死の意味」、こういうことを「未来に親になる」子どもたちに教えていく機会を設けることも大変重要です。「生と死」、あるいは「命」というテーマで医師が学校に話しに行く。小中学生がインターンシップで病院の手伝いに行く。これは、高齢者にとっては“キッズヒーリング”にもなります。
医療の持つ役割を、社会全体に広げる、これが私が推し進めたい施策です。

坂井ユカコ氏 プロフィール

【政治活動】
すみだ自民党行政対策副部長、TOKYO自民党政経塾5期生(専門政治コース 最優秀賞)

【地域活動】
墨田区観光協会正会員、すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り実行委員、本所地域プラザ運営ガバナンス委員、墨田区ラジオ体操連盟会員

【経歴】
1965年愛媛県新居浜市生まれ。帝塚山学院大学 文学部美学美術史学科 卒業。株式会社オートバックスセブン入社。カースポーツ部門で当時西日本売上新記録樹立。関連商社を経て自動車用品メーカーを起業。結婚に伴い仲間に会社を譲り上京。戦前から東駒形に暮らす坂井家(父健一が他界するまで、注文紳士服店経営)に嫁ぎ、現在夫、おかあさん、猫2匹と仲良く同居中。2010年10月、墨田区議会議員選挙の自民党 公認候補に決定。 2010年12月まで、日経BP社に勤務。2008年1月~2010年12月の間、医療改革の提言組織「21世紀医療フォーラム」の事務局スタッフとして、運営に従事。またWEBサイト「Good Doctor NET」編集部では、医療問題をテーマに取材・報道に従事。

医療を変える