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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ検診・疾病予防ワーキンググループから「がん検診」衰退に歯止めを。日本には、早期に「予防医療」を確立することが必要

「がん検診」衰退に歯止めを。日本には、早期に「予防医療」を確立することが必要

2010.06.25 医療法人社団同友会理事長 高谷典秀 氏
医療法人社団同友会理事長 高谷典秀 氏
医療法人社団同友会理事長 高谷典秀 氏

2008年4月からスタートした特定健診・特定保健指導は、いわゆる「メタボ健診」として一時注目されたものの、ほどなく尻すぼみになり、受診率・実施率の低さや、医療保険者の財政圧迫、がん検診へのアクセス低下などといった問題点が指摘されるようになった。
「解憂」(憂いを解く)を社是に掲げ、「医療はサービス業である」という医療法人社団同友会理事長で、昨年から21世紀医療フォーラムの代表世話人として、健診・疾病予防研究部会の座長をしている高谷典秀氏に、「予防医療の確立には何が必要か」、その打開策をうかがった。
(聞き手:日経BP社BPnet編集 プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 原田英子)

グランドデザインの欠如。「がん検診」の衰退化を招く一般財源化

日本の健康診断、検診、疾病予防分野で、一番問題だと思われるのは何でしょうか。

高谷 「国民の生命予後を、いかに守るか」という視点が大切です。疾病予防に大きく寄与するのが健診であり、日本人の死因の第1位は、悪性新生物(がん)、次いで心疾患、脳梗塞などの脳血管疾患ですが、こういった主要な疾患をどのように防いでいくか、それが健診・疾病予防の主目的です。

悪性新生物の場合は、「がん検診」で。「心疾患」や「血管疾患」の場合は、2008年から始まった特定健診・特定保健指導で予防し、治していこうという考え方は、非常に望ましいことで、方向性としては間違っていません。また、うつ病による自殺者が、12年連続で毎年3万人を超えていることが問題になり、最近、厚労省も本腰を入れて、労働者の健康診断の項目に、「うつ病スクリーニング」の導入を検討する方針を示しています。このように日本には、さまざまな疾患があり、対象年代もまちまちですが、健診1つを取ってみても、全体を大局的に見た『グランドデザイン』が描けていないことが、問題ではないかと思います。

これまでも、「がん検診」の受診率を上げようと、さまざまな努力がなされてきましたが、大局的な見地に立っていないことで、“ひずみ”が出てきているような気がします。例えば、がん検診の実施主体は、市町村などの自治体になっています。一方、特定健診は、医療保険者です。違う病気ではありますが、実施主体が違うため、同じ人に対して統括しにくくなっているということが、特徴的な問題点としてあげられるのではないでしょうか。

がん対策は、1984年の「対がん10カ年総合戦略」から、2007年の「がん対策基本法」まで、質の高い戦略が系統的な流れで行われてきました。こういった対策に関して大切なのは、財源ではないかと思っています。

平成10年、がん検診が老健法から除外され、がん検診費が一般財源化されました。それまでは、「がん検診」の予算として付いていた助成金が、使途が自治体に任される一般財源になったことで、「がん検診」の衰退化を招くことが懸念されました。財政状況が厳しい市町村はがん検診を行わずに、他の予算へ使用してしまうことは容易に想像できます。

実際、福岡県では、一般財源化後の平成10年には、市町村の子宮頸癌健診の受診者数が、前年比約10%減少したことが報告されています。また最近では、日本対がん協会のアンケート調査の結果、国が「がん検診」への利用を見込んだ予算を2倍に増やしたものの、それを受けて「がん検診」事業の予算を倍増させた自治体は、1割にとどまることが判明しています。

検診・疾病予防ワーキンググループから