帝京大学医学部附属病院:治験・問診業務のバイタルデータ取得にコンティニュアを適用
ノートPCと血圧計・体重計によるラストワンマイルソリューション
帝京大学医学部附属病院(以下、帝京大病院)は、治験および初診問診の業務において、コンティニュア対応の血圧計や体重計とノートPCを用いた業務システムを構築、本格運用に向けた実証実験を開始した。測定データの手書き、手入力作業に伴う転記・入力ミスをなくしデータの正確性を担保するとともに、治験業務担当者や外来看護師の作業効率の向上を狙う。
医療ITの“ラストワンマイル”ソリューションが、続々と登場している。放射線機器や検査機器の一部は電子カルテなど病院情報システム(HIS)にデータ投入する際に、コンピュータを介して自動的に転送されるようになった。病棟や外来業務においても、最近はデバイスの多様化、あるいは検査機器のオンライン化(バッチ処理を含む)により、HISへの自動・半自動のデータ転送が実現されつつある。
コンティニュア・ヘルス・アライアンスが普及に努める、コンティニュア規格もラストワンマイルソリューションの1つ。帝京大病院が構築したシステムは、治験被験者が外来診療に訪れた際、あるいは初診外来患者の問診時の血圧と体重データをコンティニュア規格対応の計測器で測定し、Bluetooth通信によって薄型・軽量で持ち運びやすいという特徴を持つUltrabook(※注)に自動転送、データ入力時のミスの削減と業務効率化を進めようというものだ。
多様な医療ITのラストワンマイルに対するソリューション
診療現場のラストワンマイルソリューションには、さまざまな形態がある。前述した放射線機器や検査機器、病棟業務などで運用するデバイスは、いずれもHISネットワークを介して電子カルテに接続する。すべて病院側でコントロールできる範囲で運用されるものだ。ところが、EDC(Electronic Data Capture)システムと呼ばれる治験システムは、大きく異なる。利用するアプリケーション(またはシステム)は治験を依頼する製薬企業など外部の企業が提供するのに加えて、それらのシステムはインターネットを経由して利用される。
ほとんどの病院では、電子カルテネットワークは、セキュリティ上の理由からインターネットに接続する環境とは分離されている。最近でこそ、仮想デスクトップ環境で電子カルテ端末からインターネット接続できるようにしている病院もあるが、その多くは電子カルテとインターネットアプリケーションとの間でデータのやり取りはできない仕組みにして、情報漏えい防止を担保している。EDCのようにインターネットを介して利用するアプリケーションをHISネットワーク内に持ち込むには、セキュリティ面から依然として高い壁がある。
「ナショナルクリニカルデータベース(NCD)や海外の症例データベースなど、症例登録するアプリケーションはインターネット上に置かれています。ほとんどの病院では、インターネットと分離されたHISネットワークが構築され、電子カルテや検査機器からデータをインターネットアプリケーションに転送する場合には、インターネット専用端末に手作業で登録しているのが現状。そのラストワンマイルの課題は、解決しなければなりません」(帝京大学医療情報システム研究センター教授 澤智博氏)。
一方、外来問診票などでは従来、患者自身が手書きで記入し、血圧や体温などの数値データは看護師が補助している。利用するネットワークやアプリケーションは病院のコントロール下にあっても、やはり手作業が不可欠で、情報の登録には医療者と患者の両者がかかわることが問題を難しくしている。「HISにつながるアプリケーション操作を、患者さんに渡したPCで行ってもらうという形は、敷居が高いでしょう」(澤氏)。
こうした診療現場の“ラストワンマイル”をいかに効率化し、データの正確性を上げるか。その業務の一部を支援するのが、澤氏らが考案したコンティニュア対応機器を利用した治験・初診問診の業務システムだ。
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