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医療とIT:レポート

「手のひらサイズ」の携帯超音波装置の実力は? 循環器、消化器、産科領域での有用性を評価

第84回日本超音波医学会学術集会から

2011/08/02 00:00
井田恭子=日経メディカル
出典: 日経メディカルオンライン,2011/6/22 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 2010年秋に、GEヘルスケア・ジャパン株式会社から発売された、携帯超音波診断装置Vscan」。携帯電話と見間違えるほどコンパクトな形状に注目が集まっているが、5月30日に都内で開かれた第84回日本超音波医学会学術集会の特別演題企画「携帯超音波と向き合う!」では、その臨床上の使い勝手が検証された。画角は狭いものの、固定型の装置と遜色ない診断能を有し、循環器、消化器、産科の各領域で有効に活用できることが示された。


カラードプラで心臓の形態診断、血流評価が可能

外来診療におけるVscan使用風景(提供:松村氏)

 携帯超音波装置といえば、従来、重さ1〜4kgのブック型が主流だったが、Vscanは本体重量390gと超軽量で、ポケットに入る小ささだ。カラードプラ機能も搭載しており、聴診器を使うように手軽に超音波検査が行える(写真1)。価格は98万円(税込み)。

 埼玉医大国際医療センター心臓内科准教授の松村誠氏は、循環器領域における使用経験を発表した。写真2、3は大動脈弁閉鎖不全症例の心エコー画像。形態診断や血流表示などにおいて、Vscanでも固定型の高機能超音波装置とほぼ同精度の画像が得られることを示した。

Vscanによる大動脈弁閉鎖不全症例の断層画像(提供:松村氏) 左がVscanの画像。固定型高機能超音波装置の画像(右)とほぼ同等の画像が得られる。
Vscanによる大動脈弁閉鎖不全症例のカラードプラ画像(提供:松村氏) 左がVscanの大動脈弁逆流像。右が固定型高機能超音波装置の画像。

 「画角が狭いのでプローブ操作には若干の慣れが必要であり、深い部位の断層画像はやや劣化するが、日常診療には支障のないレベルだ」と松村氏。ただし注意点として、「高機能機種に比べてカラー感度が高いため、Vscanのカラードプラで血流評価を行うと過大評価となる場合がある。異常を見落とさずには済むが、こうした特性を知った上で重症度を判定する必要がある」と述べた。

 松村氏は写真1のようにVscanを外来診療で利用している。ただしVscanには、循環器領域では欠かせないパルスドプラ(PWD)や連続波ドプラ(CWD)といった血行動態を測定する機能はないため、精査には従来通り固定型の超音波装置を用いる必要がある。

 病棟では血管・心嚢穿刺を行う際に穿刺部位を確認したり、胸水貯留の有無を確認するといった簡易検査に用いると便利だ。検査室に超音波検査のオーダーをわざわざ出さなくても、主治医がベッドサイドで速やかに検査を行い、治療方針を立てることができる。

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