トップ > 梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」 > 梶原しげる:「家を建てる」が「生きる希望」に!86歳被災男性が病の妻に捧げた「新居の夢」の行方

梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」ビジネス

梶原しげる:「家を建てる」が「生きる希望」に!86歳被災男性が病の妻に捧げた「新居の夢」の行方(4/6ページ)

2015.04.02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「人手不足」で新居の着工は遅れに遅れる

 数十年前。長男を交通事故で亡くしている。時を超え、二人の息子を失った困難を乗り越える気力はあまり残されていない様子が画面から見えてくる。

 しきりに励ます夫に、妻はうつろな目でぽつり答えた。

「死ぬしかねーんだ。しかたねえ、そういう運命だ…」

 「妻の絶望」がちょっぴり緩むのが、夫が「新しい家」の「夢」を語る時だ。

「完成するまであの世に行くな。仮にあの世に行くとしても新しい家から行くんだぞ」

 「一緒に新居に住もう」というメッセージは妻の生きる希望に繋がると信じた。

 ところが予定していた新居の着工は遅れに遅れた。

 理由はまたも「人手不足」。

 若い人材が流出してしまったことに加え、地元建設業者は、除染作業や復興公営住宅建設に追われ、個人宅まで手が回らない現実がナレーションで淡々と語られる。

 ジリジリ気をもむ日々が過ぎ、ようやく地鎮祭までこぎ着けた。

 高台に整備された空き地だらけの住宅街。工務店関係者数人を除けば参加者はご高齢の桑折さんだけ。神主の祝詞が寒々とした海風にかき消されそうだ。

 簡素な「祭り」を終えたその足で夫は妻のもとへ直行。そして熱く語った。

「地鎮祭、盛大だったぞ!あんなに盛大なのは初めてだ。すごく一杯きてくれてなあ。あそこはいい場所だ。一番いい!最高だ!たのしみだなあ」

 妻はわずかに表情を和ませた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー