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日経マネーDIGITAL

FP快刀乱麻

小さくてもキラリと光るいい会社

2015年2月4日(水)

 修士課程を修了して以来、どういうわけか「研究」という世界にはまってしまったらしく、現在は博士後期課程で学んでいます。所属しているのが中小企業論のゼミであることから、実際に企業に出向いて調査をする機会が多くあります。訪問先として選ぶのは、中小企業の7割が赤字(2012年2月時点、中小企業庁公表)と言われる状況下にあって、社員満足度に心を砕いたり、障害者雇用に取り組みつつ、継続的に黒字経営を続けている企業です。

従業員満足度と収益の両立を実現する中小企業

 中小企業にとって時間外労働のコストは経営に悪影響を及ぼすだけでなく、社員の健康、生産性にも弊害をもたらします。労働時間が短縮でき、有給休暇を当たり前に取ることができれば、実質的な賃金値上げの効果を社員に与えられます。時間外労働を減らし、プライベートな時間を確保できることは、メンタルヘルスケアの視点からも重要です。
 また、出産や育児、介護など、一人ひとりの事情に合わせた組織や制度を作ることで離職率が抑えられ、採用や育成にかかるコストも抑えられます。何よりも、その会社で長年培ったノウハウを持つ人財を流出させることなく、反対にコミットメントを高める効果が期待できます。
 「中小零細企業はそんなきれいごとを言っていてはつぶれる」と一笑に付されることが多いのですが、百聞は一見にしかず。実際に訪問してみると、緻密に考え抜かれた工夫が制度に埋め込まれていることに感心させられます。一社、事例をご紹介しましょう。

採用基準は「理念に共鳴すること」

 日本レーザー(東京都新宿区)は専門商社の草分けとして、大手電子光学機器メーカーの100%出資子会社としてスタートしました。現社長である近藤宣之氏が1994年に就任した時は3期連続の赤字経営で、債務超過に陥り、親会社の保証を付けても銀行から融資を断られるほどでした。
 就任後、1年目にして黒字転換を果たして以来黒字経営を続け、2007年にMEBO(マネジメント・アンド・エンプロイー・バイアウト)による親会社からの独立を果たしました。現在、パート社員と派遣社員を除き、嘱託を含む全社員(約50人)が株主です。1業務2人体制などの工夫で、育児休業や長期休暇が安心して取れるようにしています。

 外部の人から「社員が株主だからモチベーションが高いのでしょうね」と言われるそうですが、「モチベーションが高いからこそ、MEBOの話が持ち上がったときに全員が手を挙げてくれた」のだと、社長は言います。子育て支援、持病への配慮等に対応するため、就業規則は毎年見直しをしているそうです。

 収入は生活設計の要ですが、長時間労働で心身を病んでは本末転倒です。厚労省の「若者応援企業」宣言事業という、中小企業等と若者のマッチングを行う取り組みもあります。大企業志向は根強いですが、「人を大切にする企業」という視点で、中小企業も選択肢に入れてみてもいいかもしれません。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

内藤 眞弓(ないとう・まゆみ)
内藤 眞弓

 ファイナンシャルプランナー・CFP認定者。大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。現在は金融機関に属さない独立系FP会社「生活設計塾クルー」のメンバーとして、生活設計や資金運用、保障設計などの相談業務、各種団体のセミナーや講演を行う。日経電子版『医療保険特集』連載中。生活設計塾クルーでは毎月マネーセミナーを行っている。詳細はWebサイトで。個人の活動としては『日本の医療を守る市民の会』で毎月勉強会を開催中。


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