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FP快刀乱麻

誰にも聞けない! 不妊治療後にもらえるお金の話

2014年11月12日(水)

 不妊治療を受けている夫婦の数は増加し続けています。「実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦」は夫婦全体の16.4%(約6組に1組)、子供のいない夫婦だけを対象にした場合は28.6%(約4組に1組)にもなります(国立社会保障・人口問題研究所 第14回出生動向基本調査)。これだけ大勢の方が経験をしていながら、周囲に話している方はとても少なく、さらにそのお金の話となると誰に聞けばいいのか分からないという方が多いのが実情ではないでしょうか。

 「不妊治療」とは、結婚後の夫婦生活で自然に妊娠しないご夫婦が病院等で検査を受け、医師の判断によってタイミング指導や人工受精、採卵等を受ける医療行為のことです。一般の検査やタイミング指導などは「一般不妊治療」として保険適用になりますが、(A)人工授精、(B)体外受精、(C)顕微授精などのようにステップアップすると「生殖補助医療」として保険適用外になります。
 費用的には(A)人工授精で1回1万円前後ですが、(B)体外受精は1回30万円、(C)顕微授精ともなると1回40万円(厚生労働省 第1回「特定不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検討会」参考1-(4)不妊治療の患者数・治療の種類等について)と高額です。さらに、妊娠に至らなかった場合には治療を繰り返す夫婦も決して少なくありません。

 その財政支援として、不妊治療後にお金を受け取れる可能性のある申請は下記の3つです。
 (1)都道府県による特定不妊治療費助成金
 (2)市町村が独自に定めている助成金
 (3)所得税・住民税の医療費控除
今回は(1)(2)を取り上げましょう。人によって金額の違いがありますので、ここでは助成金の調べ方も踏まえてご案内します。

1.都道府県の助成金(特定不妊治療費助成事業)

 都道府県による助成金制度は「特定不妊治療費助成事業」といいます。都道府県の公式ウェブサイトで「特定不妊治療」というキーワードでサイト内検索すると、窓口や対象者について丁寧に紹介した案内が表示されます。政令指定都市(人口50万人以上)や中核市(人口30万人以上)にお住まいの方は、都道府県ではなく市で手続きします。それぞれ必要書類や対象条件が都道府県や市によって異なりますが、ウェブサイトから申請書や受診等証明書などをダウンロードできます。
 なお、治療をしたら速やかに申請することが大切です。神奈川県の場合の助成限度額は15万円。申請期間は治療終了日から(治療終了日を含めて)60日以内。もたもたしていたらあっという間に期限が過ぎてしまうので注意が必要です。この制度に特徴的なのは、初めて助成を受ける(受けた)際の妻の年齢によって回数が異なること。2014年度、15年度に新規に助成を受ける際の年齢が39歳以下であれば通算で最高6回、年度あたりの回数制限なしで助成を受けられます。2016年4月1日以降は制度変更が予定されており、39歳以下は通算6回、40歳以上43歳未満ならば通算3回(年度あたりの回数制限なし)で、43歳以上は助成の対象外となります。

2.市区町村が独自に定めている助成金

 都道府県の助成額決定通知を受けた方は、さらに市区町村の制度を受けられる場合があります。お住まいの市区町村の公式サイトで「特定不妊治療」で検索してみてください。必要書類や対象条件、助成金の上限がそれぞれ市区町村によって異なりますので、制度の有無を含めてよく確認をしましょう。

 1つ目の都道府県の助成額を受けた直後であれば、自己負担額は次の通りです。

 自己負担=申請した医療費合計額-都道府県からの助成金決定額

 この自己負担分をさらに助成してくれるのが2つ目の市区町村の独自制度。例えば厚木市では10万円を上限として独自で助成してくれます。先述した神奈川県の助成金の上限は15万円。1回の不妊治療費が40万円の場合、神奈川県から受けられる助成金15万円を差し引いた残りの自己負担額25万円に対して、さらに厚木市が10万円を助成してくれるので最終的な自己負担は15万円で収まる計算です。

 ここで注意ですが、独自で支援事業を行っている自治体は、すべての市区町村ではありません。しかし一方では、一般不妊治療も助成してくれる市区町村があります。

 共通して大切な書類は不妊治療の領収書です。医療機関の領収書は再発行されない場合がありますので、助成金をそれぞれ提出する時は写しでも対応可能か確認し、原本の提出を求められたら必ず返却の希望を伝えましょう。指定医療機関も定められていますので、今後チャレンジを考えている方も自治体のサイトを見ておくと良いでしょう。

▼不妊治療・公費助成制度(全国版、2014年9月)
http://www.fpi-j.com/doc/report_funinjosei/funinjosei20140906-01(report).pdf

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

宇田川 京子(うだがわ・きょうこ)
宇田川 京子

 1972年埼玉県生まれ。会社員を務めながら、実母と祖父の癌闘病支援、祖母の介護を連続して経験し、公費助成制度の大切さを学ぶ。2011年に生活経済研究所長野へ入所後にAFP資格を取得し、同所研究員として調査・執筆活動に従事。


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