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FP快刀乱麻

“残念な”NISAにしないために

2014年10月1日(水)

 今年1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。金融庁が発表した6月末時点での利用状況は、開設されたNISA口座が727万3667、NISA口座で購入された金融商品の買付額は1兆5631億2226万円となっています。年代別で見ると、開設された口座のうち20・30代は11.7%、40・50代は30.0%、60歳以上が58.4%。実際に買付した金額は20・30代が9.1%、40・50代が27.4%、60歳以上が63.5%で、予想どおり、NISA利用者は高齢者が中心となっています。

 NISAの目的は、
・家計の安定的な資産形成の支援
・家計からの成長資金の供給拡大
の2つです。
 特に現役世代の人たちは、所得が右肩上がりにアップすることが期待できず、将来受け取れる年金額の水準も下がると予想され、若いうちから資産形成をしていく必要があります。NISAはそれをバックアップするための仕組みといえます。ですから、本来であればリタイア層よりも、20~50代の人たちに多く利用してもらわなければなりません。

 とはいえ、NISAは今のところ非課税期間が5年間。5年目の終了時に口座にある資金を6年目の非課税枠に移しても(=ロールオーバー)最長10年なので、資産形成のためには中途半端です。やはり、非課税期間の限度をなくして恒久化しなければ、NISAは“残念な”制度で終わってしまいます。

 もう1つ、NISAには“残念な”点があります。多くの金融機関で投資信託の分配金の再投資ができないのです。
 投資信託は現役世代が中長期で資産形成をしていくのに適した金融商品で、多くの投資家から集めた資金を専門家が運用し、それによって得られた利益を分配金と基準価額の値上がりという形で投資家に還元する仕組みです。投資家は分配金を受け取ることもできますが、分配金で同じ投資信託を買える口数分買って再投資することもできます。再投資すると、投資家の保有口数が増え、それに対してまた分配金がつく、というふうに資産(保有口数)が増えていきます。
 このように雪だるま式に資産が増えることを「複利効果」といい、効率よく資産を殖やすためには欠かせません。

 ところが大手証券会社では、NISA口座は分配金受取しかできないか、あるいは分配金がNISA口座の外(一般口座)に入るか、のいずれかしかありません。大手ネット証券でも、再投資ができるところは限られます。
 分配金を受け取ってしまうと複利効果が得られず、分配金がNISA口座から出てしまうと非課税メリットを活かせません(もちろん分配金がNISA口座で再投資されると、その分、非課税枠を使うことになりますが、100万円ぎりぎりで投資していない限り問題はありません)。
 これでは、せっかくNISAで資産運用を始めても運用効率が悪く、思うように資産が増えないということになってしまいます。

 NISAで投資信託の利用を考えるなら、分配金再投資が可能な金融機関を選ぶことをおすすめします。すでに口座開設した人も、来年から金融機関を1年ごとに変更できるようになるので、再投資可能な金融機関に変えることを検討してみてはどうでしょう。

 NISAは利用者が増えれば、恒久化の動きも出てくるはず。また、利用者が再投資可能な金融機関を選ぶようになれば、今は再投資できない金融機関もシステムを変更するかもしれません。賢い投資家がNISAを使いやすく変えていくことに期待したいところです。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
馬養 雅子

 オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解・初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)、「明日のことが不安になったら読むお金の話」(中経出版)など著書多数。


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