自分の置かれた状況だけが不幸とは思わないこと

 「5月病」の時期を終えつつありますが、依然として体調や心の状態が元に戻らならないと感じている人がいるのではないでしょうか。朝起きると、体が鉛のように重く、出社することに苦痛を感じたり、気が抜けてしまい、仕事をしている最中も放心状態になったりすることがあるのかもしれません。

 これらの状態が心の病によるものと思うならば、早めに医師やカウンセラーなどの専門家に相談し、何らかの対策をするべきでしょう。放置しておくことは、避けたほうがいいと思います。

 今回は、取材や私の会社員の頃の経験をもとに、「長引く5月病」の対策を考えたいと思います。私の率直な考えを述べると、会社に正社員として籍を置き、毎月、給料をもらいながら、「体がだるく、本調子になれない」「疲れる」などといえるのは、「心の病」である場合を除けば、恵まれた身だと思います。

 私の周囲には、個人事業主や社員が2~5人の零細の編集プロダクションの経営者が10数人はいます。この人たちは、日々の仕事や資金繰りに追われ、「体がだるく、本調子になれない」「疲れる」と口にする心の余裕はありません。息苦しくなるほどに、経済的に苦しい生活をしています。今の私もそのひとりなのかもしれません。

 「長引く5月病」になる人には、「苦しくて仕方がない」と嘆く以前に、自らの置かれた状況、たとえば、普通に仕事をしてさえいれば、給与を受け取ることができることに目を向けてもらいたいところです。賞与や退職金も受け取るならば、会社に感謝の念は持つべきではないでしょうか。その思いがあれば、状況は多少変わってくるのではないかと思います。私が知る「長引く5月病」になる原因は、会社のことを肯定的にとらえていないことにある場合が多いようです。

 私の周りにいる非正規社員の多くは、「苦しくて仕方がない」と口にする正社員のことを同情しません。この人たちは、機会あるごとに正社員の待遇をうらやましく言います。賞与や退職金をもらえず、正社員とほぼ同じ仕事をしながら、安い賃金で働く身であり、不満が出るのは当然でしょう。「長引く5月病」になる人にとって大切なことは、自分の置かれた状況だけが不幸とは思わないことだと思います。