田中ゆかりさんの「とびはね音調」研究

 一昔前、若者達のやたらと名詞を平板化する現象が問題になった。かつては頭にアクセントがおくのが普通だった横文字は「ドラマ」「ギター」「クラブ」「バイク」「サークル」「パンツ」「ライン」をふくむ多くが平板化に向かい、漢字言葉も「会議」「電車」「彼氏」「彼女」など平板化、即ちアクセント無しが進んでいる(詳しくは266回「LINEは「ラ」を強調する頭だかアクセントだった?!日本にはびこる<名詞平板化の謎>」を参照)。

 そんな事に驚いたり、むかついたりしているうちに事態は更に深刻化してしまった。もはや単語の平板化を超えて、センテンスの平板化。しり上がりイントネーション会話のまん延が日本語を変えつつある。

 このまま行けば、最近ご無沙汰のつぶやきシローさんがNHKのアナウンサーになって「独特のしり上がりイントネーション」でニュースを読む日も遠くないかもしれない(無いか?…)。

 話を戻そう。

 「~ね」を「相手に尋ねたり、同意を求めたりするときの言葉~しり上がりの調子で言う」と解説した三国とは別に、単なる「~ね」の「尻上がり調」だけでなく「センテンスそのもののしり上がり現象」を「とびはね音調」と名付け研究したお方がいる。新進気鋭の女性研究者で、日本大学文理学部国文学科教授の田中ゆかりさんだ。ネット上に公開された論文の一部をご紹介しよう。

 「とびはね音調」とは、田中ゆかり(1993)で報告をした1990年代以降、首都圏で拡張しつつある新しい音調、「とびはねイントネーション」のことである。早野真吾(1992)においても、北関東の尻上がりイントネーシヨンに近い現象が「東京の若い女性の会話にも観察されるようになった」という指摘があり、当該音調にかんして1990年代初頭には、研究者レベルによる気づきが広がりつつあったことが確認される。
「とびはね音調」は同意要求表現か?より引用)