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日経マネーDIGITAL

FP快刀乱麻

消費増税を機に人生100年の計を!

2014年3月12日(水)

 4月からの消費増税が、いよいよ目前に迫ってきました。メディアでは「消費増税前に買うべきもの、買わないほうが良いもの」などのように消費税と家計の支出について、多く取り上げられています。私たち消費者としては、少しでもお得に(むしろ、損しないために)、お財布を管理するというのが目下の関心ごとといえるでしょう。

 ところで今回の増税は、平成24年8月に関連8法案が成立した「社会保障と税の一体改革」の一環として行われるものです。多額な借金を抱える国家財政と超高齢社会に突入する国内事情を踏まえ、「社会保障と税の一体改革」によって、社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものです。消費増税は安定財源確保と財政健全化を目的として行われます。

 財務省のホームページで提供している学習用のコンテンツに「財務大臣になって財政改革を進めよう」というものがあります。自分が財務大臣になったと仮定して、社会保障、公共工事、教育など10の歳出項目と歳入(税金)について、「増額」「減額」「現状維持」などの国家予算の基本方針を決め、目標年度までに財政基礎収支の黒字化を目指すものです。実際に試してみると実感できるのですが、歳出項目を大胆に減らし歳入(税金)も同時に大幅に増やさないと、財政基礎収支の黒字化は実現できません。

 家計改善の基本的な考え方は、収入を増やし、支出を減らすことです。さらに効果的に支出を減らすためには、支出金額の多いものから優先的に手をつけます。これを国家財政に置き換えて考えてみると、「収入を増やす」ためには税収を上げる必要があります。次は「支出を減らす」です。平成26年度の国家予算(一般会計)の案で、歳出額の多いものから順に挙げると、社会保障(31.8%)、国債費(24.3%)、地方交付税交付金(16.8%)になっています。国債費(償還金と利息)を減らすためには、財政基礎収支を黒字化し、国の借金残高自体を減らす前提になるので、社会保障費を優先的に減らす必要があります。このように考えると、「社会保障と税の一体改革」は、理解しやすいのではないかと思います。

 「歳入」(税収)を上げるためには、景気を良くして、法人税や所得税を上げる方法もありますが、景気対策がうまく機能するかが鍵になります。一方、消費増税は、景気への影響が気になるところですが、国家財政の視点でみれば安定的財源確保につながります。けれども、私たち消費者の視点で見れば、恒久的な負担増加です。また、所得税については、平成25年の所得税から、年収1500万円以上の人の給与所得控除の上限を一律245万円とする改正が行われ、対象者は増税になりました。さらに、現在検討されている平成26年の税制改正(案)では、所得税の給与所得控除の見直しの対象を平成28年から、年収1200万円以上の者は上限230万円、平成29年から、年収1000万円以上の者は上限220万円とする改正案が盛り込まれています。家計における税負担は、今後さらに大きくなるということを前提に考えなければなりません。

 一方、「歳出」(支出)を減らすために社会保障制度の見直しも行われています。「社会保障と税の一体改革」では、社会保障の充実化と安定化がうたわれていますが、「負担が減り、保障は充実する」ということは、財政上考えられません。「負担が増え、保障は必要とされるところを重点的に行い、その他のところは、基本的には減る」と考えるのが適当でしょう。実際に、健康保険・介護保険の保険料も年々増加傾向にあります。給付についても、介護保険を例に挙げると、減らされることが検討されています。介護保険制度が導入された2000年以降、公的介護費用の自己負担割合は1割となっていますが、この自己負担部分を、高所得者層(年金収入が単身で280万円、夫婦で359万円が対象)は2割に引き上げる案が検討されています。

 4月からの消費増税は、「社会保障と税の一体改革」の最初の第一歩と捉えるべきで、家計における税負担が増え、社会保障については、負担が増え、給付が減る、つまり、「生涯可処分所得が大幅に減少する時代」に本格的に突入したと考えるべきでしょう。そう考えると、目先の損得勘定も大切ですが、今後の生活設計(ライフプラン)と資金設計(ファイナンシャルプラン)をどのように組み立てるかを考えることがますます重要だといえます。

 かつては、人生80年と考えるのが一般的でしたが、平均寿命が、男性79.94歳、女性86.41歳(平成24年簡易生命表)というのを見ると、もはや人生90年というのが当たり前の世の中になってきました。平成25年9月1日時点の住民基本台帳における100歳以上の高齢者の方は、54,397人とのことです。この数は、年々増加しています。少し先の将来には、人生100年と考えるのが当たり前のようになっているかもしれません。「生涯可処分所得減少時代」突入元年の今年こそ、人生100年の計を立てる絶好の機会といえるでしょう。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

平野 泰嗣(ひらの・やすし)
平野 泰嗣

 FPオフィス Life & Financial Clinic代表。CFP認定者。中小企業診断士。著書に「30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資のしかた」。同じくFPの妻と「夫婦FP」として、夫婦のFP相談を数多く行っている。


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