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梶原しげる:【289】編纂者達が命がけで拾い集めた言葉の饗宴!「辞書」には<現実>がぎっしり詰まっている!(6/8ページ)

2014.03.06

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「ワードハンティング」に余念がない

 現在の編纂者のお一人、飯間浩明さんも「ワードハンティング」に余念がない。我々と居酒屋に出かける時も店先の看板、目玉メニューを書き出した黒板、出されたメニューの表紙などに「ひっかかる言葉」を見つければ、すかさずメモをとったり、店に断ってデジカメに撮ったり。あらゆるメディアに目を凝らし、耳を澄まし、町歩きでも大学の講義でも、気になる言葉はすべて記録する。この習慣はケンボー先生譲りだ。

 そんな飯間さんが、一年間に採集して記録に残す言葉は5000語程。新鮮な「今を描写する言葉」を毎日欠かさず見つけ出し記録・保管・整理するなど、人間業ではない、と私には思われる。しかしケンボー先生は30年間で145万用例!飯間さんの言葉ではないが神業としか言いようがない。

 そのためケンボー先生の自宅の新聞は朝・毎・読・日経・産経・東京が2部ずつ届く(切り抜いた裏に大事な言葉があるときのために)。週刊誌は3~4誌、月刊誌から単行本。パンフレット・折り込み広告・電車の中刷り・ダイレクトメール・看板・掲示板・テレビ・ラジオ・芝居・落語・他人の談話。あらゆる言葉に目を通し、耳を澄まし、解釈を加え、メモに残した。あふれる言葉を収集するため寝ている時間以外はいつも大きくアンテナを広げながら変化する言葉を求め続けた。

 「言葉は絶えず変わっている。目の前で変わっている。音もなく変わっている。日本語の変化におくれず同じ早さで走ること。誤用も含めた客観的な事実を客観的に記述する」

 先生は言葉の本質を「乱れ」ではなく「変化」としてとらえる。「美しい日本語を守るべきだ」といった、辞書を「正しい日本語を守るための規範」だとは考えず、「実態」を重視した。その結果新しい用例が145万枚の短冊となって残った。

 「大便」も145万分の1ということなのだろう。

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