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梶原しげる:【289】編纂者達が命がけで拾い集めた言葉の饗宴!「辞書」には<現実>がぎっしり詰まっている!(3/8ページ)

2014.03.06

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既存辞書への宣戦布告とも言える過激な語釈

 山田先生のその頃の既存の辞書作りへの「怒り」はそのまま辞書の語釈に反映されている。既存辞書への宣戦布告とも言える過激な語釈が世間の注目を集めた。

 新明解を有名にしたのは例の「恋愛」についての語釈だろう。

 第三版から引用したものが以下の説明文だ。

「恋愛:特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒にいたい、できるなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にかなえられないで、ひどくこころをくるしめる(まれにかなえられて歓喜する)状態・・・」

 当時、ラジオ番組でこれを話題にしなかったパーソナリティーを探す方が難しいほど話題になった。

 「国語辞典なんて、中学入学時に学校で買わされたものが一冊あればそれで一生事足りる」と考える「普通の青少年」の「辞書観」をひっくり返すほどのインパクトがあった「あの頃」を思い出す。

 この辞書には「漫然と辞書を作る同業者を激しく非難する山田先生の怒りのコメント」と思える語釈がいくつもある。

 「芋辞書:大学院の学生などに下請けさせ、先行書の切り貼りででっちあげた、ちゃちな辞書」

 「パッチワーク:つぎはぎ細工[創意工夫のない辞書編集にたとえられる]」

 これを辞書にそのまま載せて、痛烈な批判の矢を放っているのだ。

 「辞書は個性的であってはならない。客観的な記述に終始すべきだ。筆者の主張を入れるなどもってのほか」というそれまでの考え方にとらわれず、「主観」を恐れることなく書き込んで行った。批判の声もあったが、その個性的、いや革命的な手法が大きな成果を上げた。多くの人に「辞書は読み物としても面白い」という発見を与えた。これが新しいニーズを掘り起こし、新明解を日本一売れる辞書へと成長させる原動力となったのだ。

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