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日経マネーDIGITAL

FP快刀乱麻

通常口座・NISA口座どちらを使うべき?

2014年1月29日(水)

 いよいよNISA(少額投資非課税制度)がスタートしました。言い換えれば、日本の個人投資家は、今年から、投資を行う際に、何を買うか、いつ買うか、どこで買うかに加えて、通常口座(特定口座・一般口座)で買うべきか、NISA口座で買うべきかを選択することになったわけです。

 不確実性を伴う投資の世界で、例えば、日本の個別株に投資しようと考えた時、通常口座を使うべきか、NISA口座を使うべきか、実際のところ、かなり悩ましい問題です。  
 特に、両口座の損失に対する違いを考えると、損益通算が可能な通常口座に対して、NISA口座では、損益通算ができず損失に弱いため、NISA口座の運用には損失という結果になりにくい商品を選ぶべきだといわれています。

 これに対して、私が火曜日のコメンテーターを担当させて頂いている「マーケット・トレンド」(ラジオ日経)でコンビを組んでいるフリーアナウンサーの山本郁さんから、少し前の放送で素晴らしい明言が飛び出しました。「でも、投資はすべて儲けを出そうと思って買いますよね」と。

 おっしゃる通り。

 通常口座であろうがNISA口座であろうが、投資に対して私たちは常に儲けを出そうと考えるから、その時点で投資を行うわけです。
 通常口座は損益通算できるからといって、別に損失枠を作りたいと思って行動しているわけではありません。投資の結果は自己責任ですから、その結果を受け止める覚悟をもって投資に挑んでいる投資家も、期待しているからこそ投資を決断するその時点で、さて、この商品は本当の意味で通常口座向きの商品であるか、それとも、NISA口座向きの商品であるかを正確に判断することは、日頃、投資家が決断している個々の商品に対する損失の影響度とはまた違う次元の判断を迫られているように思います。 

 というのも、その時脳裏には、損失に対する意識とともに、NISA口座の非課税メリットを存分に味わうには、“損失の影響度”の裏返しでもある、利益の上昇幅、単純に言えば、高いリターンが期待できる商品を、通常口座ではなくNISA口座の方で買っていることがベストという期待もあるからです。

 このように、決断を迫られるのが投資家の常とはいえ、結果からみれば誰でもわかる最適なそれぞれの口座の使い方を完璧に実践することはとても難しいものです。
 難しいことは承知の上で、やはり非課税メリットをムダにするのはもったいないので、ある程度の投資金額で運用に取り組む既存投資家をイメージして、手堅いNISA口座の使い方を考えると、通常口座との使い分けがカギを握るのだと思います。

 例えば、あえてNISA口座に最も馴染まない回転売買が日頃の投資スタイルという場合を考えてみましょう。私は、投資家にとって、これまでの荒波をくぐり抜けてきた個々人の投資スタイルというのは、いわば投資家の命だと思っています。それは絶対に崩さず、この場合、回転売買はこれまで通り通常口座で行う、そして、そこで発生した儲けを原資にNISA口座で比較的高いリターンが期待できる商品に投資してみる、といった手段が考えられます。原資が儲け100%のものなら、人間の心理として比較的冷静に動向を捉えられるでしょう。
 あるいは、NISA口座で、含み益ではなく、実際に利益をあげてから、また次の投資を考えるという手段もあるでしょう。要はNISA口座全体に対して、自分の中で損益通算枠を作っておく発想です。

 どちらも儲けが出ないと成り立たない……と言われてしまうかもしれませんが、“投資はすべて儲けを出そうと思って買うもの”ですから、その成果を確認しながら慎重に向き合ってもよいのではないかと思います。
 結局のところ、NISA口座の非課税枠は100万円を使い切ろうとするのではなく、結果としていくら使ったとなることが、投資全体のバランスからみると正しいのではないかと思う次第です。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

野尻 美江子(のじり・みえこ)
野尻 美江子

 有限会社ファイナンシャルリサーチ所属。マネー誌や女性誌、新聞、各種サイトへの執筆や取材協力、ラジオ出演などを通じて、“自分のお金と向き合うきっかけづくり”を提案。現在、ラジオNIKKEI『野尻美江子のマネー入門』(毎週火曜夜10時半~)に出演中


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