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梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」ビジネス

梶原しげる:【279】自分のセンスを競うFacebookの「いいね!」な世の中に、Dr.コパさんの相手を全面肯定する話術に癒される(5/6ページ)

2013.12.19

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LINEの田端信太郎さんが提唱した「ジャズ喫茶理論」

 中川淳一郎さんはLINEの執行役員の田端信太郎さんが提唱したという「ジャズ喫茶理論」を例に挙げてお話し下さった。

 ここでいうジャズ喫茶とは60年代から70年代にかけて都心にあった、コーヒーを飲みながらジャズのレコードを聴く喫茶店。中川さんの本の記述で当時の様子をありありと思い出した。

 「ジャズに精通している」と自認する若者が、大抵一人で通ったものだ。彼らはあえて「玄人好みの渋い曲」をリクエストする。すると「おお、こいつは、わかっている、いけている!何者だ?」と周囲の客の賞賛のため息が聞こえて来る。自分の存在を他者評価により確認することのできる大事な場所であった。

 当時早稲田の軽音楽部員だった私は多少ジャズに親しんでいたはずだが、大抵の店では私の知らないマニアックな曲ばかり流れていた。それに合わせ、客がからだを微妙に揺すっていたり、指を鳴らしたりして、何だか居心地が悪かったものだ。ああいう中で他者から評価されたいという「自己顕示欲」を満たそうとみんな必死だったという訳だ。

中川「いけてる人と思われたい、と言う点で、昔のジャズ喫茶とFacebook上のコメントに共通するものがあります。例えば<これ良記事です>というコメントを添えて英字新聞のコラムをアップする。アップした本人は格別英語が得意なわけではない。その記事のどこが良記事なのかも分からない。でもそれを投稿すると<いけてる人>と思ってもらえそうだからアップする。一方、そのページを見た人も何だかよく分からないが<いいね!>と返すと、自分まで<分かっている人>とおもわれるからそうする、というへんてこな状況が生まれる。センスのいい人、行けてる人と赤の他人から認めてもらうことで自己肯定感を保てる。似てますよね、ジャズ喫茶とFacebook」

梶原「おっしゃる通り!<フランクフルトでトランジット>のコメントを空港手荷物カウンターの写真と一緒にアップする人。<世界をまたに活躍するビジネスパーソンと尊敬されたい>との思惑が透けて見える人。実は、激安パック旅行の添乗員に撮ってもらった写真だったりして」

 ひがみ根性の旺盛な私ならこういう写真に<いいね!>なんて絶対に押さないが、こういう写真に反発をしない器の大きい人、という評価を受けたい向きは素直に<いいね!>を押す。もう何が何だか分からない。

 今も昔も、人間とは、認められたい、評価されたい、ほめられたい生き物だと分かる。

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