うつ病の薬の恐ろしい副作用

 実は、前述の記事では、薬を早く飲んで脳内のセロトニンを早めに戻しておかないと神経がどんどん縮んでしまうという説を紹介したし、今のうつ病の薬は、昔のうつ病の薬と比べて、ずっと副作用が少ないという話もした。

 そのときに、「今のうつ病の薬は、吐き気や食欲不振などの副作用がないわけでないし、たまにひどい興奮状態になってしまうという副作用も問題になっているが、そういう場合に、本人なり周囲が気づいてやめるということを知っていれば、やはり有益なことが多い」とも書いた。

 ただ、その後、思うところがあって、うつ病の薬について勉強し直すにつれて、この書き方はやはり誤解を招くと反省した。

 一番の問題は、この書き方では、うつ病も躁うつ病(現在は「双極性障害」というのが正式な病名である)も一緒くたにされることだ。

 確かに、躁状態のない典型的なうつ病の場合は、今のうつ病の薬(SSRI、SNRIなどと総称される抗うつ剤)で、ひどい興奮状態になったり、異常行動を起こす(これをアクチベーション・シンドロームと呼ぶ)リスクは少ないが、躁うつ病の人に今のうつ病の薬を使うと、かなりひどい興奮状態を起こす。そして、最悪の場合には殺人事件にまで発展する。

 1999年に起きた全日空機ハイジャック事件で、機長を刺殺した犯人は、この新しいタイプの抗うつ薬を服用していて、判決でそのことが考慮された。

 そのほか、川崎の男児投げ落とし事件、京都の学習塾女児殺害事件、ドンキホーテ放火事件など、かなりの数の有名事件で、SSRIと呼ばれる抗うつ剤を犯人が服用していることが明らかになっている。