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日経マネーDIGITAL

CFA流『さんない』投資塾

第35回 株式投資は配当金に目を向けよう

2013年8月1日(木)

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。合言葉は、「急がない、やめない、無理しない」。毎月1回の更新です。
CFAって何?という方はこちらからどうぞ。→ ごあいさつ

びとうファイナンシャルサービス株式会社 代表取締役
尾藤 峰男, CFA



 株式投資で得られる収益には、2つあります。1つは元本の上昇による売却益です。もう1つは配当金です。皆さんはどちらを目当てに株に投資していますか。「株は売っていくら利益が出たか、でしょ。配当金なんて、あてにしていない。」おそらく、こういう感覚で株式投資をする人は多いでしょう。しかし、投資収益は以下の式で見なければいけません。

投資収益=売却損益+配当金累計額

 たとえば、下のようなケースで、配当金に目が行かず、30万円の損失と認識してしまうことはよくあります。配当金を加えると、実はプラスなのです。

20万円(投資収益)=-30万円(売却損)+50万円(配当金累計額)

 今回は、株式投資において配当金に目を向ける必要性について考えて見ましょう。

●配当金は株価を決める基本的要素

 配当金1回分は少なくても、それを累積していけば大きな金額になります。まさにそこに配当金のすごさがあるといってよいでしょう。「株価は、将来受け取る配当金合計の現在価値に等しい。」といわれ、配当金は株価を決める基本的な要素です。配当金に目を向けた投資に、株式投資本来の姿があるといってもよいでしょう。

●会社は、株価をコントロールできないが、配当金はコントロールできる。

 会社は株価をコントロールできません。市場で市場参加者が売買する取引によって決まります。しかし、配当金をいくら出すかは、会社が決めます。また株価は業績と離れて上下に大きく振れることがありますが、配当金は業績に応じて支払われ、株価より安定した推移をたどります。そして、このキャッシュフローに目を向けた株式投資は、本来望ましい長期投資につながります。

●会社の配当政策の評価は、配当性向と増配姿勢で

 配当金をいくら出すか、会社が決めると先ほどいいましたが、その場合に利益を原資に配当するので、配当性向といって、利益からどの程度配当しているかを測る指標があります。

配当性向=1株配当金/1株利益

 この数字が高いほど利益から配当する比率が高くなり、株主にたくさん返していることになります。日本で恥ずかしくないといえるレベルは30%程度でしょう。まだ不十分の会社もたくさんありますが、多くの会社がこのあたりを目処にしています。株主にしてみると、無理のない範囲で、なるべくたくさんもらえるに越したことはありません。

 しかしながら、もう一つ大事な点があります。その配当金を継続して増やしてほしいということです。業績連動型配当といって、利益の増減によって、あらかじめ決めた配当性向に合わせて配当金を上げ下げする会社がありますが、これでは株主としては落ち着きません。継続して配当金を上げてくれる会社が望ましいのです。そしてそういう会社は、結果として業績が安定して伸びていく会社ということになります。また株主還元意識が強い会社でもあり、投資家としては、株価は上がり、配当も増えていくことが期待できる投資価値ある会社ということになります。

●増配が続くと、配当利回りは上がる。

 増配を続ける会社の株を持つと、たとえば配当利回りが2.5%のときに投資して、その後配当金が2倍になったとすると、配当利回りは5%に上がります。毎年配当金が増え続け、配当利回りが10%にもなれば、株価はあまり気にならなくなるでしょう。とはいっても、株価も上がっていることでしょう。この状態が株式投資の理想形といってもよいのです。

 米国のグローバル企業、ジョンソン&ジョンソン、プロクター&ギャンブル、スリーエムは、50年以上増配を続けています。日本でも、セブン&アイ・ホールディングや花王が長年増配を続けています。これらの会社は安定して配当金を出し続けますから、株価変動が小さいという特長もあります。

 表に上げた米国の有力企業の保有期間別の株価上昇率や配当利回りを見ますと、1980年に投資していると、いまでは株価は50倍以上、配当利回りは150%を越える会社もあります。そして、その配当利回りは増配が続く限り、これからも上がり続けるのです。

注)2013年6月末時点

 世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットの師匠であったベンジャミン・グラハムは、著書「賢明な投資家」の中で次のように言っています。

 “基本的に、価格変動は、真の投資家にとって、ただ1つのきわめて大きい意味を持っている。価格変動は、価格が急激に下がったときに賢く買い、際立って上がった時に賢く売るという機会を与えてくれる。そのとき以外は、投資家は株式市場を忘れ、配当金と投資した会社の業績に目を向けているほうが、いい結果になる。”

 このような視点から株式投資に臨むと、短期売買とはずいぶん違った風景が見えてきます。そして、こうした臨み方が将来大きな果実を生むことは、昔から示され続けています。


注)本稿において個別銘柄を勧める意図はありません。情報提供の一助としてあげているものです。投資の意思決定は自己責任でお願いします。



 実際に運用に携わっている現役CFAが執筆するこのコラムでは、読者からの質問コーナーも設けます。投資について、どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい(ただし、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。
<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>

このコラムについて

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。

<ごあいさつ>

日本CFA協会元会長/ウェルス・マネジメント・フォーラム代表幹事 岡本和久
「投資のプロたちが皆さんに本当にお伝えしたいこと」


このコラムでは質問コーナーも設けます。どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい。
(ただ、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。

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問い合わせ内容を「CFAに質問」としてください。

日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム(WMF)
日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム

 世界中の投資・資産運用業界でスペシャリストの証として認知されている専門家資格CFA。WMFは、日本におけるCFA資格保有者や受験者に対し、専門知識の向上と相互交流の場を提供している非営利団体「日本CFA協会」内において、CFAの持つ知識を少しでも一般投資家の方の役に立てたいと考えるメンバーが集まり2008年秋に結成された会。現在その啓蒙活動の範囲を徐々に拡大中。


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