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アベノミクスで金利は「短低長上」になる?

2012.12.26

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 安倍新政権は消費者物価指数の目標を2%におき、デフレ脱却のために大胆な金融政策を行う予定である。市場は安倍新政権が誕生する前から、アベノミクス期待により、株高、円安が進んでいる。長期金利に関しては、12月上旬の0.7%割れを底とし上昇しているものの、その幅は0.07%程度に過ぎない。
 11月の衆議院解散後、アベノミクスを囃し立てて、さまざまなメディアが安倍政権誕生後はどうなる?という特集を組んでいるが、筆者は少し違和感を感じざるを得ない。筆者よりも高名な専門家がマーケットなどの予測をしているのでマクロの詳細は譲るとして、市場金利を含め、預金金利や国債の金利、住宅ローン金利などをウオッチしている筆者なりのミクロの予測をしてみたい。

 結論は、タイトルにあるように「短期金利連動の金融商品は低下または横ばい、長期金利連動の金融商品は上昇」略して「短低長上」だ。

 安倍新政権は大胆な金融緩和を行うと言っているのだから、短期金利は低下圧力がかかるだろう。現在、日本銀行の当座預金に対する利子である「付利」が0.1%付いているが、この0.1%をゼロ金利政策時のように0%にすれば短期金利をもう1段引き下げることが可能になる。
 足元、無担保コール翌日物金利は0.08%前後で推移しているが、付利を0%にすることで、ゼロ金利政策時代のように0.001%まで下がるのではないか。仮に引き下げが実現すれば、普通預金金利は0.001%、通常貯金金利は0.005%の史上最低に肩を並べることだろう。預入期間5年以下の定期預金金利は、既に史上最低水準であるため横ばいかもしれないが、もしかしたら史上最低を更新するかもしれない。
 国債も中期国債2年、5年、個人向け国債の3年、5年の金利は横ばいか、やや低下すると思われるが、日本銀行が国債の買い入れを償還5年まで広げれば、予想外の低下もありえるかもしれない。
 また、住宅ローンの変動金利も、短期プライムレート連動型であるため0.1%程度低下が見込め、上昇に転じるのは当面先と思われる(詳細は後述させていただく)。固定金利選択型は5年以下はやや低下が見込めそうだが、市場最低水準にある以上、足元の水準が下限金利になるかもしれない。

 一方、長期金利は緩やかに上昇して行く気がしてならない。つまり、12月上旬の0.7%割れが底という見方になる。長期金利は日本銀行の政策よりも、将来の物価、景気、為替などの行方を先取りする形で形成されると言われる。アベノミクスで脱デフレ、名目経済成長率を高めると言っているのだから、先取りする長期金利は上がらざるを得ない。
 ただし、長期金利が上昇すると言っても2%を超えて、3%や5%に向かうとは到底考えられない。予断だが、1997年以降は長期金利には2%の壁があると言われていることから、2%を超えるには相当のエネルギーが必要だろう。2013年は仮に急騰したとしても1.5%止まりではないか。
 アベノミクスを囃したマーケットの動きは、2003年あるいは2005年に似ているようだが、金利水準から判断すると2003年型と思われる。2003年はりそな銀行に公的資金注入後、マーケットの動きは一変したが、長期金利は注入後も低下し、6月11日に史上最低の0.435%を付け反転している。年末は1.36%程度を付けている。その後も長期金利は紆余曲折がありながらも上昇し、2006年5月には瞬間2%超えに至っている。

 預入期間の長い定期預金金利、償還期間10年以上の国債の金利は、緩やかながら上昇していくのではないか。預入期間の長い固定金利商品の利用は控えるべきであろう。
 変動金利型の個人向け国債は償還期間が10年でも大丈夫だが。10年物の長期国債の表面利率は2012年12月発行の0.7%を下回ることはないだろう。

 気になるのは住宅ローン金利と思われる。全期間固定タイプは、やはり2012年12月の適用金利が最低ではないか。フラット35だと1.81%、固定金利選択型だと10年固定で最優遇金利1.30%(メガバンク)になる。今後、長期金利の上昇とともに緩やかに上昇していく可能性が高い。
 問題は変動金利。先に低下または横ばいが当面続くとしたのは、日本銀行の金融政策は実体経済などを後追いする形で政策変更が行われるからだ。2003年のときも、長期金利上昇、株価上昇は続いた(景気も拡張した)後、2006年7月にゼロ金利政策を解除したのだ(解除自体は2005年9月に福井日本銀行総裁が示唆)。長期金利が底を打ってから実に3年もかかったのである。
 今回も3年かかると断定はできないが、円安に誘導すると政府が述べている以上、欧米より先に日本銀行が政策転換=金融に引き締めに動くことはないはず。したがって、住宅ローンの変動金利タイプが上昇することは当面ないと考えられる。
 ただし、変動金利の適用金利が上昇したときには、全期間固定や10年固定などの長めの固定金利選択タイプの金利はかなり上昇していることだろう。その時点で、借り換えを考えても遅いということだ。

 安倍新政権発足後の確定利付き商品での運用、住宅ローンの借入れ、借り換えなどを考える際の参考になれば幸いである。

深野 康彦(ふかの・やすひこ)
深野 康彦(ふかの・やすひこ)

 クレジット会社、独立系FP会社を経て2006年1月、有限会社ファイナンシャルリサーチ設立。テレビ・ラジオ番組への出演、新聞・マネー雑誌などへの執筆等で活躍中。

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