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CFA流『さんない』投資塾

第23回 外国株の長期投資は、為替リスクがほとんど消える

 外国株投資には為替が付き物で、円高リスクがネックになって外国株投資に踏み切れない人は、大変多いことでしょう。しかし「外国株投資に為替リスクはほとんどない」としたら、貴重な投資機会を失っていることになります。

2012年8月10日(金)

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。合言葉は、「急がない、やめない、無理しない」。毎月1回の更新です。
CFAって何?という方はこちらからどうぞ。→ ごあいさつ

びとうファイナンシャルサービス株式会社 代表取締役
尾藤 峰男, CFA



 外国株投資には為替が付き物で、円高が進めば為替損が出ると、円高リスクがネックになって外国株投資に踏み切れない人は、大変多いことでしょう。しかし「外国株投資に為替リスクはほとんどない」としたら、貴重な投資機会を失っていることになります。そこで、外国株投資と為替リスクの関係をここで見てみましょう。

 長期的には、2国間の為替レートは2国のインフレ率の差によって決まるとされています。インフレ率の高い国の通貨は、インフレ率の低い国より通貨安になります。ちなみに6月の米国の消費者物価上昇率は前年比+2.2%、日本は-0.6%。このデフレは長期に続いており、円高もうなずけるというものです。

 それでは、通貨安を伴うインフレは、株価にどう影響するかを見てみましょう。

  1.インフレになると、実物資産である不動産や株式に投資資金が回り、不動産価格や株価が上がることが多い。
  2.インフレになると、製品の売価が先行して上がり、賃金の上昇は遅れ気味になり、収益性が向上して株価は上昇傾向になる。
  3.通貨安になると、輸出企業や海外の売上が多いグローバル企業は為替益を享受でき、株価は上がることが多い。

 このように、投資先の通貨安を、株など実物資産への投資や業績向上による株価の上昇で補う働きをするのです。

 下の表は、日経平均とニューヨーク・ダウに円で投資した場合を比較したものです。27年で1ドル=233円から77円になる円高でも、ニューヨーク・ダウは円建てで3倍以上に上昇しています。そしてどの3つの期間を取っても、その差は歴然としています。3つの期間とも大幅に円高になっているのですが、円建てニューヨーク・ダウは、日経平均を大幅にアウトパフォームしています。

 それでは、実際に、どの程度、為替リスクが外国株投資で吸収されるかを、ニューヨーク・ダウに円で投資した場合で見てみましょう。

 この表の「NYダウのリスク」はドルで投資した場合の株価本来のリスク、そして、「円建てNYダウのリスク」は円でNYダウに投資した場合のリスクです。一般的には、93/1~11/12の部分では「NYダウ」と「為替」の両方のリスク15.1%と10.8%の合計、すなわち25.9%が「円建てNYダウのリスク」と考えるでしょうが、実際には17.8%となっています。ここで増えている為替リスクは、10.8%ではなく、(17.8-15.1)の2.7%だけです。為替リスクの75%(8.1%/10.8%)が消えてしまったのです。00/1~11/12の期間を見ても、為替リスクの約70%(6.8%/9.6%)が消え、同じような結果が出ます。

 また、93年からの円建てNYダウのリスク17.8%の内訳を見ますと、株式リスクが15.1%、為替リスクは2.7%で、為替リスクは全体の15%(2.7%/17.8%)しかなく、ほとんど(85%)が株式リスクとなっています。2000年1月からの期間でも、まったく同じ割合(2.8%/18.3%)です。すなわち、円建てでNYダウに長期投資した場合、為替リスクは全体のリスクのほんのわずかという結果になっているのです。

 株式市場と為替の動きには、弱い相関しかないか、時には逆相関の関係にあるといわれています。過去の米国での調査でも、10年以上の投資時間軸では、外国株投資の為替リスクはなくなるという結果が出ています。これは、先ほどお話したとおり、通貨安をもたらすインフレにより株価が上昇し、為替リスクを埋め合わせていることを示しているものです。
 短期では、為替レートは為替市場の投機的売買や需給関係で動きますが、10年以上の長期投資では、このようなメカニズムで為替リスクは消されていくのです。また、米国での調査によると、外国株投資の為替リスクは株式リスクのおよそ半分である一方、外債投資の為替リスクは債券リスクのおよそ2倍となっています。(ソルニック、国際証券投資5版)このような結果からも、外国株投資のリスクリターンの効率の高さがわかります。

 為替リスクから外国株投資をためらうのは、目の前の木になるりんごが甘くておいしいのに、中身が心配でためらって食べないようなものです。効率的な資産運用の有力な選択肢として、外国株投資を改めて検討してみるとよいでしょう。




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このコラムについて

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。

<ごあいさつ>

日本CFA協会元会長/ウェルス・マネジメント・フォーラム代表幹事 岡本和久
「投資のプロたちが皆さんに本当にお伝えしたいこと」


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(ただ、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。

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日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム(WMF)
日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム

 世界中の投資・資産運用業界でスペシャリストの証として認知されている専門家資格CFA。WMFは、日本におけるCFA資格保有者や受験者に対し、専門知識の向上と相互交流の場を提供している非営利団体「日本CFA協会」内において、CFAの持つ知識を少しでも一般投資家の方の役に立てたいと考えるメンバーが集まり2008年秋に結成された会。現在その啓蒙活動の範囲を徐々に拡大中。


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