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今週の日経ビジネスはこう読め!ビジネス

老人ホーム革命

2012.07.17

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 老人ホームに入る生活を想像したことがあるでしょうか。

 かつては裕福な高齢者が入居するイメージがありましたが、今では施設が増え、多くの人が利用できるようになりました。しかし、いまだに老人ホームに入居するよりも、自宅で最期を迎えたいと考えている人が少なくありません。

 しかし、家族のことを考えれば、今の時代、簡単に子供に介護を頼むことができません。

 もし、無理に自分の思いを押し通したらどうなるのでしょうか。

 1972年、作家の有吉佐和子氏が小説『恍惚の人』で、自宅介護の悲劇を描きました。徘徊や幻覚症状を起こす老人に振り回され、家族生活が破綻していく…。

 ある日、息子がこうつぶやきます。

 「パパも、ママも、こんなになるまで長生きしないでね」

 それから40年、有吉氏が描いた「凄惨な介護崩壊」を免れるためにも、日本の各地には様々な「老人ホーム」が建てられてきました。老後の選択肢は増え、絶望的な状況は回避されたかに見えます。

 しかし、財政が逼迫し、揺れ動く政策の上で、施設数ばかりが増殖してきた感があります。有料老人ホームから特養、老健、サ高住…。政策によって様々な施設が乱立しています。

 そして、介護現場では十分な収入が上げられず、人件費を抑制するため介護スタッフが不足する…。老人ホームの現場は荒廃し、企業の参入意欲も減退しかけています。

 ついに、現場では「老人虐待」の悲劇が起きるようになりました。ビデオによって、こうした現実が白日の下にさらされています。

 今、老人ホームで生活する人々は、こうつぶやくのではないでしょうか。

 「こんなに長生きしなければよかった」と。

 2042年、日本は高齢者4000万人時代が到来します。その時、1億人の全国民が介護に巻き込まれる窮状に陥るとも言われます。

 そんな事態を避ける処方箋はただ1つ。老人ホームを中心に、「高齢者が価値を生む時代」を創り出すことです。

 高齢化は進みますが、老人はかつてに比べて明らかに身体能力が上がっていることが調査でも明らかになりました。彼らは長年培った経験と知見によって、若い世代に大きな「知的資産」を与えることができます。

 その中心地としての「老人ホーム」が改新することで、高齢化先進国が「未来型国家」に変貌するはずです。

日経ビジネス 2012年7月16日号 より

「日経ビジネス」7月16日号特集 『老人ホーム革命』
あなたは老後をどう過ごす?
1億総介護時代を生き抜く処方箋

老人ホームは増えたが現場は荒廃、企業の参入意欲が減退している実態、ホーム選び勝ち組の条件から老後シミュレーションまで1億総介護時代の処方箋を探る。


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